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氷に傑作刻み ソチフリー、涙の挽回

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2010年バンクーバー冬季五輪の フィギュアスケート女子で銀メダルを獲得するなど、 数々の 輝かしい実績を残した浅田真央選手(26)。 中でも、 6位に終わったもの 、 自身2度目の 出場となった14年ソチ冬季五輪で見せた迫真の 追い上げは、 日本の みならず世界中の ファンを魅了した。
2010年バンクーバー冬季五輪のフィギュアスケート女子で銀メダルを獲得するなど、数々の輝かしい実績を残した浅田真央選手(26)。中でも、6位に終わったものの、自身2度目の出場となった14年ソチ冬季五輪で見せた迫真の追い上げは、日本のみならず世界中のファンを魅了した。
いまだ至らぬ表彰台の頂を夢見て、再び上がった五輪の銀盤。だが、ショートプログラム(SP)では、得意にしているトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)で転倒するなど精彩を欠き、16位と大きくつまずいた。「自分の体がうまく動かなかった」。浅田選手の再挑戦は道半ばで終わったとさえ思われた。
だが、浅田選手は翌日のフリーで見事に立ち直った。出場選手で唯一、3回転ジャンプを計8回跳び、フリーでは3位となる、自己最高得点の142・71点を獲得して6位まで浮上。天を見上げるフィニッシュポーズを取り、顔を下ろすと浅田選手の目から大粒の涙があふれた。涙交じりの笑顔で、大声援に応えた。
ジュニア時代から世界の第一線に立っていた浅田選手とはいえ、失意のどん底にあった気持ちを一晩で立て直すのは難しかった。そんな時、指導する佐藤信夫コーチ(75)は、五輪のSP後にへんとうを腫らし、食事もできないままフリーに臨んだかつての教え子の話を浅田選手に聞かせた。「『ぶっ倒れたら、必ずリンクの中まで助けに行くから、倒れるまでやれ』と彼に言った。彼は最高のフリーを演じた」
「私は病気ではない」。名伯楽の言葉は魔法のように浅田選手に染み渡り、気持ちの切り替えに成功した。自己ベストを更新する最高のフリー。残念ながらメダルには手が届かなかったが、「傑作」は人々の記憶に深く刻まれる。スケーターにとって、これ以上の殊勲はなかった。【芳賀竜也】

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