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戦後社会は土地問題で崩壊する 8月25日

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岐阜県瑞浪市の 中央自動車道で先週起きた土砂崩れは、 人災である。 現場近くの 窯業原料製造会社は、 長年、 道路脇の 斜面に産業廃棄物を野積みしていた。 それが白い汚泥となっ…
岐阜県瑞浪市の中央自動車道で先週起きた土砂崩れは、人災である。現場近くの窯業原料製造会社は、長年、道路脇の斜面に産業廃棄物を野積みしていた。それが白い汚泥となって道路に押し寄せ、車4台を巻き込み6人に重軽傷を負わせた。 ▼汚泥は付近の川にも流れ込み、住宅街にも達している。会社の敷地である斜面には、行政や高速道路会社のチェックが及んでこなかった。昨日の日経新聞は、高速道路に隣接する私有地の安全管理の難しさを指摘していた。 ▼月刊誌「ウェッジ」9月号の特集記事は、「捨てられる土地」である。現在日本全国には、九州の面積を超す広さの「所有者不明」の土地が存在する。このため自治体は必要な都市計画を実行できない。災害に見舞われれば復興の阻害要因となる。土地を相続しても、きちんと登記をしない人が後を絶たないからだ。 ▼北海道の貴重な水源地となる山林やリゾート施設が、中国をはじめとした外国資本に次々に買収されている。小紙は恐るべき実態を長期連載で伝えてきた。 ▼どれもこれも、根っこにあるのは同じ問題である。自分の所有する土地をどう使おうと、放りっぱなしにしようと、誰に売ろうと勝手である。土地の所有権を絶対視する日本の制度が、この風潮を助長してきた。 ▼「土地を公有しなければ日本はどうにもならなくなるのではないか」。司馬遼太郎さんは、すでに昭和30年代の終わりごろから、危機感を募らせてきた。その後地価が高騰し、やがて「土地神話」が終わり、住宅街に空き家が点在する現在に至る。司馬さんの予言はますます真実味を帯びている。「戦後社会は、倫理をもふくめて土地問題によって崩壊するだろう」(『土地と日本人』)。

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