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公約重視、和平犠牲=米大統領、国際的孤立深める決断-エルサレム承認

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トランプ米大統領は6日の 演説で、 エルサレムをイスラエルの 首都と正式に承認した。 来年1月の 就任1年を前に「成果」 を求め、 昨年の 大統領選で掲げた公約の 実現を重視した格好だが、 「究極の ディール(取引)」 と見なす中東和平交渉の 推進に悪影響を及ぼすの は確実。 英仏やサウ
トランプ米大統領は6日の演説で、エルサレムをイスラエルの首都と正式に承認した。来年1月の就任1年を前に「成果」を求め、昨年の大統領選で掲げた公約の実現を重視した格好だが、「究極のディール(取引)」と見なす中東和平交渉の推進に悪影響を及ぼすのは確実。英仏やサウジアラビアなど主要同盟国にも同調する動きはなく、国際的孤立を深めかねない決断と言える。 ◇具体策なき決意表明 「和平合意を手助けするため、全力を尽くす」。トランプ氏は演説で、2014年に中断した中東和平交渉を後押しする決意も表明した。だが、エルサレムをめぐる決定が和平にどう寄与するのかは明らかにしなかった。イスラエルとパレスチナを交渉の席に戻す方策についての説明もなく、和平推進の具体策がないことを露呈した。 和平交渉の仲介役を務めてきた歴代の米大統領は「エルサレムの帰属は交渉で決める」として、首都承認や米大使館の移転を避けてきた。トランプ氏は演説で「過去の大統領も選挙戦で主要公約に掲げてきたが、実行できなかった。私は実行する」と強調した。 CNNテレビは、歴代政権の方針を覆し公約実行を優先したことの代価は「和平プロセスの頓挫だ」と指摘する。ホワイトハウス高官はCNNに「(影響は)一時的だろう」と強弁するが、猛反発するパレスチナとの関係修復は当面望み薄。「仲介役」の立場を投げ捨ててイスラエルに肩入れしたと見なされ、反米感情の広がりが地域の不安定化につながる恐れすらある。 ◇歴代政権の方針否定 過去の政権に問題の責任を押し付け、「自分は違う」と方針転換を打ち出すのは、トランプ氏が多用する手法だ。北朝鮮の核・ミサイル問題への対応では「(オバマ前政権による)『戦略的忍耐』の時代は終わった」と宣言し、圧力強化にかじを切った。巨額の貿易赤字も歴代政権の失政の結果と決め付け、環太平洋連携協定(TPP)離脱や北米自由貿易協定(NAFTA)見直しを正当化してきた。 だが、そうした手法はしばしば国際社会との摩擦を生んできた。6月に地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱を正式表明。10月にはイラン核合意について「イランの合意順守を認めない」と断定し、破棄も辞さない姿勢を示した。いずれもオバマ前政権の政策を否定したものだが、欧州諸国などの反発を浴びた。 ◇同盟国からも批判 今回の決定に対しては、アラブ諸国はもちろん、同盟関係にある欧州諸国からも「賛成できない」(メイ英首相)、「認められない」(フランスのマクロン大統領)と懸念や批判が噴出した。トランプ政権発足後、ただでさえ、ぎくしゃくする米欧関係が、さらに冷え込むのは避けられない状況だ。 トランプ氏は演説で「米国の利益が最大となるよう判断した」と胸を張った。だが、中東和平推進を困難にする決定が、米国の国益にどうつながるか見えてこない。「米国第一は米国孤立ではない」という主張とは裏腹に、「首都エルサレム」に賛同する国は、これまでのところイスラエルだけだ。(ワシントン時事)(2017/12/07-15:10) 関連ニュース
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