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貴乃花親方の解任提案 協会理事会、評議員会に

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大相撲の 元横綱日馬富士(33)による暴行事件を受けて日本相撲協会は28日、 東京・ 両国国技館で開いた臨時理事会で、 貴乃花親方(元横綱)の 理事解任を評議員会に提案することを全会一致で決めた。 巡業部長であ
大相撲の元横綱日馬富士(33)による暴行事件を受けて日本相撲協会は28日、東京・両国国技館で開いた臨時理事会で、貴乃花親方(元横綱)の理事解任を評議員会に提案することを全会一致で決めた。巡業部長でありながら巡業中の暴行を報告せず、協会の調査に協力しなかったことなどが理由。評議員会は2018年1月4日に会合を開き、対応を話し合う。 協会の最高意思決定機関であり、理事の解任権を持つ評議員会で決議されれば初の理事解任となる。その場合、貴乃花親方は企業の役員に当たる理事から外れ、副理事に次ぐ役員待遇委員へ2階級の降格となる。 元日馬富士は10月下旬、巡業先の鳥取で開かれた会合で貴ノ岩の態度に腹を立て、殴打を繰り返して負傷させた。貴ノ岩側は鳥取県警に被害届を提出したが師匠の貴乃花親方は協会に報告せず、協会による事情聴取も繰り返し拒否。12月25日にようやく応じた。 28日の理事会では貴乃花親方の弁明を踏まえ、同親方の責任と処分について検討。協会の危機管理委員会がまとめた文書によると、貴乃花親方は「(事件が)第三者を巻き込んだ恐れがある」と認識しながら「別の部屋の力士なら報告したかもしれないが、自分の弟子のことだから調べようと思った」として協会への報告を怠った。 「警察捜査に支障をきたす」として協会調査への協力を拒んだのも同親方の独断によるもので、県警からは支障がない旨が伝えられていた。 臨時理事会を終え、記者会見する日本相撲協会の八角理事長(左)(28日午後、東京・両国国技館) 理事会は同親方の行動に正当な理由はなく、理事や巡業部長に課された報告義務を怠り、誠実な対応をしなかったことが事態を長期化させたと判断。理事の忠実義務に著しく反したとして、評議員会に理事解任を求めることを決めた。解任されても18年の初場所後に予定される理事候補選挙には立候補できるが、再び理事に戻るにはその後の評議員会で選任されなければならない。 12月20日の理事会では元日馬富士の師匠にあたる伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)が辞任し、八角理事長(元横綱北勝海)や現場に居合わせながら暴行を止められなかった白鵬、鶴竜の両横綱の処分が決まった。貴乃花親方への対応だけが保留となっていたが、28日の解任提案で、暴行事件の処理に区切りがつく見通しが立ったことになる。 日本相撲協会の臨時理事会に臨む貴乃花親方(中)(28日、東京・両国国技館) 貴乃花親方は自身の処分が話し合われた28日の臨時理事会にグレーのスーツ姿で出席。会議室の中央付近の席に座ると背もたれに体を預け、じっと正面を見据えて開会を待った。 約1時間の会合の後はいち早く会場を出た。報道陣に囲まれたが無表情で無言を貫き、迎えの車に乗り込んだ。 八角理事長は理事会の決定に対する貴乃花親方の反応を記者団に聞かれると「特になかった」と淡々と話した。 識者の見方 コラムニストの小田嶋隆さん 日本相撲協会は現役時代の番付が高い順に出世し、外部の人間を迎え入れない古い慣習が根付いているように見える。 日本に古くからある先輩後輩の関係や義理人情で動く部分が、世間の人々にとって自分が所属する組織の映し鏡になり、人ごとではないと思わせた。社会の関心が意外なほどの盛り上がりを見せた要因の一つだろう。 角界は引退後のセカンドキャリアが保証されておらず、女性が活躍する環境も整っていない。経営や法務などの専門家も他のスポーツと比べて少ない。協会は体質を改め、抜本的改革を進める時期に来たのではないか。 危機管理コンサルタントの白井邦芳さん 暴行事件を通じて日本相撲協会が力士を統制できていない状況が浮き彫りになった。貴乃花親方が聴取を断った時点で活動停止などの断固とした措置をとるべきだった。 暴行現場にいた白鵬が調査終了前に日馬富士の寛大な処分を求めたことも、ガバナンスが機能していない証拠だ。力士が個人的な見解を述べた場合に処分を下すなどのルールづくりが要る。 協会の隠蔽体質も改善していない。八百長問題など不祥事があったのに今回も報道されるまで事件を公表しなかった。理事会の議事録の公表など意思決定の過程を明らかにする必要がある。

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