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大けが乗り越え、栃ノ心が初優勝

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勝負がついた時と花道を引き揚げる時。 横綱大関の 戴冠とはひと味違う温かい拍手が国技館を包んだ。 栃ノ心が旭天鵬以来6年ぶりの 平幕優勝を飾った。 同期入門の 松鳳山と激しい突き合い。 攻勢の 途中、 いなされて泳
勝負がついた時と花道を引き揚げる時。横綱大関の戴冠とはひと味違う温かい拍手が国技館を包んだ。栃ノ心が旭天鵬以来6年ぶりの平幕優勝を飾った。 栃ノ心(左)が松鳳山を寄り切りで破り、優勝を決めた 同期入門の松鳳山と激しい突き合い。攻勢の途中、いなされて泳いだ。歓声と悲鳴が交錯する中、すぐに向き直って左を差すと右を絞って寄り切り。ここぞの一番で力を出し切り、小刻みに何度もうなずいた。 「どんな形でも前に出ようと。頭が真っ白になった」と栃ノ心。「いつか優勝をと思っていたが、こんな日が来るとは。人生最高の日」。こらえ切れず、目を潤ませた。 旧ソ連のジョージア出身。12年前、泣いて反対する母を押し切り、母国語の辞書さえない日本にやって来た。柔道などで磨いた腕と恵まれた体格を頼りに三役まで駆け上がったが、13年名古屋で右膝前十字靱帯などを断裂。4場所連続休場で幕下55枚目まで落ちた。 3カ月以上稽古もできず、引退も考えた。思いとどまったのは師匠・春日野親方(元関脇栃乃和歌)のこんな言葉だ。「(幕下以下が締める)黒まわしは似合わない。あと10年は取れるぞ」。膝への負担を減らす速い攻めを心がけ、復帰した14年春から4場所連続優勝で幕内に帰ってきた。 春日野親方は「励ましはしたが正直ダメだと思っていた」と言う。かつて部屋にいた力士が暴行で有罪を受けていたことが明るみに出た今場所、部屋から46年ぶりの優勝力士が生まれた。「優勝したことはないが自分が優勝するよりうれしい。ろくな親方じゃないから反面教師にしてくれた」 栃ノ心は昨年11月、父になった。初夏になりそうなまな娘との対面へ、最高の手土産ができた。(吉野浩一郎)

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