ルネサスが9日発表した2017年12月期の 連結純利益は前年同期比42%増の 771億円だった。 東日本大震災と熊本地震の 2度の 震災を乗り越え、 堅調な業績を続けている。 17年2月に買収完了した米同業の イン
ルネサスが9日発表した2017年12月期の連結純利益は前年同期比42%増の771億円だった。東日本大震災と熊本地震の2度の震災を乗り越え、堅調な業績を続けている。17年2月に買収完了した米同業のインターシルも収益に寄与した。自動運転技術の進展や工場自動化などの追い風を受けて同社業績は再び成長軌道に描き始めた。 ルネサスはCESで完全自動運転車のデモを披露した(米ラスベガス) 売上高は7802億円。営業利益は784億円だった。決算期変更のため単純比較できないが、16年1~12月実績と比べて実質的に売上高は22%増、営業利益は11%増だった。インターシルが連結対象となったことや熊本地震の影響がなくなり、為替も円安傾向だったことで業績を押し上げた。 決算発表後の電話会見で呉文精社長は「あらゆるセクターで追い風が吹き、需要が強い。(中計目標の達成に向けて)確実に前進している」と強調した。自信の背景には主力の車載半導体の分野で、自動運転技術や高度運転支援システム(ADAS)の普及によって需要の伸びが期待できるためだ。 1月上旬に米ネバダ州ラスベガスで開かれたコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)。完全自動運転車のデモを披露したルネサスブースを世界の自動車大手幹部が次々と訪れた。 トヨタ自動車 、独フォルクスワーゲン、米ゼネラル・モーターズ(GM)、仏ルノー、米フォード…。ルネサスがソフトウエア会社など230社を束ねる「R―Car(アールカー)コンソーシアム」が手掛ける自動運転向けの半導体システムに関心が集まったという。 「頭脳部分だけでなくエンジンやカメラの制御、通信など自動運転に必要な幅広い半導体を1社で提供できるのは当社の強み」。車載担当の大村隆司常務執行役員は自信を深める。大村氏の発言は「車の頭脳」を担う半導体分野で存在感を増す米エヌビディアや米インテルを意識したもの。「どういった半導体を組み合わせるべきか、完成車メーカーの相談相手になれる」と胸を張る。 呉社長も「量産車は我々の土俵」と話しており、競合と比べて低価格で安定供給する体制を整える。情報システムの不具合が事故に直結する自動車分野は長期間の安定稼働が必須条件で、車載分野で高いシェアを持つルネサスに一日の長がある。さらにエヌビディアやインテルの半導体は演算能力は高いものの消費電力も大きい。「演算性能は魅力だが、まだ量産車には載せられない」(自動車部品大手幹部)という声も多い。 JPモルガン証券の長期予想では、半導体全体に占める車載半導体の比率は16年の12%から2030年には30%に大きく伸び、現在主流のサーバー・コンピューター向けの半導体に匹敵するという。15年という長期間で電気自動車(EV)の普及や自動運転機能が大衆車にも広がるためだ。ルネサスが現在の強みを維持できれば大きな恩恵を受けられるというわけだ。 ただ成長市場をにらんだ巨額買収が相次ぐ半導体業界では、ライバルもM&Aを駆使して自動車分野を攻める。ルネサス自身も「積極的なM&Aを仕掛ける」(呉社長)立場。1月末にはアナログ半導体の米マキシム・インテグレーテッドを2兆円超で買収する協議に入ったとの報道もあった。 ルネサスが想定する複数の買収先候補の1つとされるマキシムだが、時価総額がほぼ同規模。呉社長は「M&Aは当然選択肢として常に考えているが、現時点で具体的に検討していることはない」と報道を否定する。ただ再編熱が高まる今、世界大手がM&Aで陣取り合戦を繰り広げる。時価総額2兆円の“中堅企業ルネサス”が埋没しないために、長期視点に立った提携戦略が求められている。(細川幸太郎)

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