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「開かれた英国」守れるか EUから強硬離脱へ :日本経済新聞

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NewsHub【ブリュッセル=森本学】英国のメイ首相は17日、欧州連合(EU)からの離脱を巡り、移民制限や司法権独立など英国の権限回復を優先し、EU単一市場から完全に離脱すると表明した。昨年6月の国民投票で示された民意を重視し、強硬離脱に傾いたメイ氏は「開かれた英国」を守れるか。3月末までにEUに離脱を正式に通知する方針だが、交渉は難航が必至だ。
英国のメイ首相は「野心的な自由貿易協定をめざす」と述べた(17日、ロンドン)=ロイター
「英国は偉大でグローバルな貿易立国になる」。メイ氏は17日の演説でこう言い放った。だが、その前提となる「円滑な離脱」の実現には難題が山積している。
まず、離脱交渉そのものだ。メイ氏はEU基本条約(リスボン条約)50条が定める「2年間」の離脱交渉の期限内に、EU側との合意をめざす考えを表明した。英国がEUに離脱を正式に通告してから交渉が始まる。3月末までに通告すれば2019年3月が期限だ。
だが正味の交渉期間は1年半ほど。EU側の交渉責任者、欧州委員会のバルニエ首席交渉官は英側との最終合意の目標を「18年10月」としている。EUと英国の双方の議会の承認手続きに半年程度はかかるためだ。
英国とEUは、英国で暮らすEU市民やEU域内で暮らす英国民の扱いなどを定める「離脱協定」を協議する。同時に、EU離脱後の英国とEUの貿易・通商関係などに関する「将来協定」の交渉も進める必要がある。
メイ氏は「単一市場のメンバーではなく、野心的な自由貿易協定(FTA)をめざす」と宣言した。EUがトルコなどと結ぶ関税なしに取引できる関税同盟とも異なる「英国独自」の協定をめざすという。
一方、EU関係者は「将来協定」について「すべてのEU加盟国の議会で承認を得る必要がありそうだ」と語る。メイ政権への不満から辞任したロジャーズ前駐EU大使は「将来協定」締結に「10年かかる」と英政府に報告したと伝えられ、交渉が長引く懸念は強い。
「“崖っぷち”は誰の利益にもならない」。メイ氏はEU離脱後、「将来協定」が適用されるまでの間の激変緩和措置も検討する考えをみせた。産業界などは英EU離脱の悪影響を最小限に抑えるため、「移行期間」を設けるよう求めてきた。EUとの間で移行期間の設置に合意できないまま離脱すれば、欧州経済の混乱は避けられない。
メイ氏が推進するとうたった各国とのFTAの締結も、そう簡単には進みそうもない。
トランプ次期米大統領は英国との2国間貿易協定を「早期に」締結する意向を示し、英EU離脱を支持した。だがEUの制度では正式な離脱まで加盟国として扱われ、第三国との交渉に入れない。EUのモゲリーニ外交安全保障上級代表は16日のEU外相理事会で、ジョンソン英外相に離脱前の第三国との“交渉禁止”を念押しし、「同意を得た」と明らかにした。
メイ氏が単一市場からの離脱に傾いたのは、移民制限や司法権独立など、自国の権限を取り戻すことを重視したためだ。単一市場のルールの番人であるEU司法裁判所の影響を受けずに、単一市場に残ることは「EU制度上ありえない」(EU関係者)からだ。
移民制限を優先する英国は離脱後、金融機関が一つの加盟国で許可を取ればEU域内で自由に営業できる「単一パスポート制度」を維持できない見込みだ。英国はEUとの間で代替案を協議したい考えだが、これも先行きは不透明だ。

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