【マウンドー西脇真一】 「見ていないの で誰が火を付けたか分からない」 。 少数派イスラム教徒ロヒンギャの 村人はそう言って口を閉じた。 13日、 河野太郎外相の 視察に同行し、 一部が焼き打ちに遭ったミャンマー西部ラカイン州マウンドーの パンドーピン村などを訪ねた。 一見平穏で住宅の 再建なども続くが、 人々が心に負った傷はうかがい知れない。 近く隣国バングラデシュへ逃れた避難民の 帰還が始まるとみられるが、 平穏な暮らしは取り戻せるの か。
【マウンドー西脇真一】「見ていないので誰が火を付けたか分からない」。少数派イスラム教徒ロヒンギャの村人はそう言って口を閉じた。13日、河野太郎外相の視察に同行し、一部が焼き打ちに遭ったミャンマー西部ラカイン州マウンドーのパンドーピン村などを訪ねた。一見平穏で住宅の再建なども続くが、人々が心に負った傷はうかがい知れない。近く隣国バングラデシュへ逃れた避難民の帰還が始まるとみられるが、平穏な暮らしは取り戻せるのか。
ロシア製の軍用ヘリでシットウェから約45分。13日朝、マウンドー郊外に降り立った。付近の草は朝露にぬれており、朝夕は冷えるようだ。
がたがたの道を車で走ると、銃を手にした兵士が立つ。ミャンマー政府によると昨年8月25日未明、地元の武装組織「アラカン・ロヒンギャ救世軍」(ARSA)がマウンドーの警察施設を襲撃。これに治安部隊が反撃し、戦闘が拡大した。多くの村が焼き打ちされ、ロヒンギャらが隣国バングラデシュへ逃れた。上空から見ると、灰色のまだら模様になった場所が、無数に点在していた。
パンドーピンは人口約1000人というロヒンギャの村だ。一部が焼き打ちに遭い、一角では日干しレンガで政府などの支援を受け、住宅の再建が続いていた。被害を免れた別の場所で河野氏が高床式の住宅に入った。「今は安心して暮らしている」と家族。だが、河野氏が焼き打ちの話を尋ねると「分からない」と繰り返した。
さらに北部のタウンピョーレッウェはバングラデシュとの国境の橋がかかる。避難民が帰還する経路の一つだ。バングラ側からは子供たちのはしゃぎ声が聞こえる。帰還の受け皿作りのためにミャンマー政府が設立した新組織の幹部で、視察に同行したアウントゥンテット氏は「日本の支援は必要だ。現場を実際に見てもらい、何ができるかを考えてほしかった」と、河野氏の訪問を認めた理由を語った。
1月中に帰還が始まる予定だが、バングラ側での手続きが遅れているとの報道もある。政治評論家のシトゥーアウンミン氏は「多くのロヒンギャは最初の帰還者がどのような待遇を受けるかを見極めた上で、判断するだろう」と指摘する。

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