24日、ロンドンの最高裁法廷で、英国の欧州連合(EU)離脱通告に議会承認が必要とする判決を読み上げる長官(中央)=テレビ画面より(AFP=時事)
【ロンドン時事】英最高裁は24日、英国の欧州連合(EU)離脱をめぐり、EUへの正式な離脱通告に議会の承認が必要かどうかが問われた訴訟で、原告の投資家らの主張を認めた一審のロンドン高等法院判決(昨年11月)を支持し、「承認が必要」とする判決を言い渡した。敗訴が確定したメイ政権は離脱通告の承認を求める法案を数日中に議会に提出する見通し。 議会が法案を否決する可能性はほとんどないが、メイ首相の離脱戦略に一定の足かせとなる可能性がある。最大野党・労働党など離脱に消極的な議会勢力は、政府の独断による交渉進展に歯止めをかけられるよう法案を修正したい考えだ。 首相官邸は声明で「最高裁の判断を尊重し、早急に議会手続きを開始する」と表明。3月末までに離脱通告を行うとするメイ首相の方針については「判決は影響しない」と強調した。政府側はこの日程に間に合わせるため、できる限り簡潔な法案により早期承認を目指すとみられる。 一方で判決は、連合王国(英国)を構成するスコットランドや北アイルランドなどの自治議会による離脱通告承認の必要性については否定した。 24日、ロンドンの首相官邸を出るメイ英首相(EPA=時事)
EU基本条約(リスボン条約)50条によれば、英側がEUに正式に離脱を通告することにより、その手続きが発動し、離脱の条件を決める原則2年間の交渉がスタートする。 訴訟で政府は、伝統的に「国王大権」と呼ばれる政府の権限内で離脱通告は可能であり、議会承認は不要と主張した。これに対し、原告は、通告により英国のEU離脱は事実上確定すると指摘。離脱で英国民は「EU圏内での移動の自由」などの一定の権利を失うが、国王大権でこうした権利剥奪はできず、議会に問わなければならないと反論し、判決はこれを大筋で認めた。(2017/01/24-22:12)