米労働省が4日発表した7月の 雇用統計(速報値、 季節調整済み)は、 景気動向を敏感に映す非農業部門の 雇用者数が前月比20万9千人増えた。 増加幅は市場予測(18万人程度)を上回り、
【ワシントン=河浪武史】米労働省が4日発表した7月の雇用統計(速報値、季節調整済み)は、景気動向を敏感に映す非農業部門の雇用者数が前月比20万9千人増えた。増加幅は市場予測(18万人程度)を上回り、失業率も4.3%に改善した。米連邦準備理事会(FRB)は量的緩和で買い入れた保有資産の圧縮を検討するが、9月の次回会合で正式決定する流れが強まってきた。 7月の米雇用はレジャー・接客業が大きく伸びた。コックの求人を掲げるカリフォルニア州のレストラン=ロイター 雇用者の増加幅は高水準だった6月(23万1千人)からやや鈍化したものの、好調の目安とされる20万人を2カ月連続で上回った。失業率は前月から0.1ポイント改善し、16年ぶりの低水準だった5月と並んだ。 FRBは完全雇用とみる失業率の水準を4.6%としており、労働市場には過熱感もにじみ始めている。 就業者数を業種別にみると、レジャー・接客業が6万2千人増と大きく伸び、ヘルスケアなども雇用を積み増した。トランプ大統領が雇用維持にこだわる製造業も1万6千人増え、持ち直しが続いている。 FRBは9月に次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。2008年以降の量的緩和で米国債などを大量に買い入れたが、イエレン議長らは「金融政策の正常化」を目指して早期に資産縮小に動く考えを表明している。好調な雇用情勢を受けて、次回会合で正式決定に踏み切る可能性が強まってきた。 課題は賃金上昇率の鈍さだ。平均時給は26.36ドルと前年同月比2.5%増にとどまった。伸び率は金融危機前の3~4%に届かないままで、雇用の逼迫が賃上げにどこまで結びつくかが焦点だ。そのため物価上昇圧力も限定的で、FRB内には追加利上げには慎重論も浮かぶ。次回会合では資産縮小の開始を優先し、利上げは小休止するとの見方が市場では有力だ。