オウム真理教による一連の 事件を発生当初から取材してきたジャーナリストの 江川紹子さんは、 今回の 7人に対する執行について、 「…
オウム真理教による一連の事件を発生当初から取材してきたジャーナリストの江川紹子さんは、今回の7人に対する執行について、「教団内のそれぞれのセクションのトップにいた、教祖と近かった人たちをまとめて執行したというような印象がある」と述べました。 また「今までは同じ事件に関係した死刑囚は同時に執行するという暗黙のルールがあって、今回も例えば坂本弁護士一家の殺害事件に関わった死刑囚から執行していくのではないかと思っていたが、暗黙のルールを壊して麻原に近い者から先に執行するという意図がよく分からない。教団が『教祖とともに旅立った』というストーリーを作り、教祖への忠誠心を強めるように信者をあおりたてることに利用しかねないので、懸念している」と指摘しました。 今後の教団の動きについては「報復テロが起きることを気にしている人もいるが、教祖が指示したわけでもないのにテロを起こせば宗教的な罪を背負ってしまうことになる。さらに、再び事件を起こせば組織が完全に消滅させられることは分かっているはずなので、組織的にやるということは考えにくい。ただ、跳ね上がりみたいな人物が絶対に出てこないとは限らないので、当局がしばらく監視を強化する必要はあると思う」という見方を示しました。 さらに「麻原のお墓が聖地化されたり、遺骨が仏様の骨のように少しずつ信者に分け与えられ、資金源になることも考えられる。資金力を高めていく可能性もあるので、しっかりと見ていく必要がある」と指摘しました。 そして、教団の後継団体は資金力を高めている一方で被害者への賠償を済ませていないとして、「賠償をきちんとやるように社会が教団に求めていくことは大事だと思う」と述べました。 最後に江川さんは一連の事件の背景について、「オウムが犯罪行為を活発化させていった時代は、バブルが膨らんでしぼんでいく過程と大体一致する。日本全国に札束が飛び交って、価値観がおかしくなっていた時代とも言える。本当の幸せとは何か、金ではなく、もっと違うものを探し求める人たちが、たまたま麻原の本を手に取り、のめり込んでしまうケースがかなりあった」と指摘しました。 そのうえで「多くの若者が生きがいや居場所を探す中でオウム真理教に出会ってしまった。人間関係に悩み、逃げ場を探して行き着いてしまった人もいた。時代を超えて人がカルトに引き寄せられる動機は存在すると思う。オウム事件は大きな区切りを迎えるかもしれないが、過去に変な人たちが起こした変な事件だということで終わらせるのではなく、私たちが巻き込まれないようにするにはどうしたらいいのかしっかりと分析する必要がある」と話しました。