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【解説】広島 3連覇への軌跡

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広島が球団史上初、 そしてセ・ リーグでは巨人以来2チーム目となるリーグ3連覇を果たした背景には生え抜きの 選手たちが過去2年…
広島が球団史上初、そしてセ・リーグでは巨人以来2チーム目となるリーグ3連覇を果たした背景には生え抜きの選手たちが過去2年の優勝で経験を積んでさらに力をつけたことに加え、新たな戦力も台頭したことで選手の層が厚みを増し、チームとして成長を遂げたことが挙げられます。 広島は長く低迷期が続く中でも、将来性のある『広島向き』の選手をドラフト会議で獲得し、伝統の厳しい練習で鍛え上げる地道な取り組みを続けてきました。 それが形となったのがおととしの25年ぶりのリーグ優勝でした。この年、1番・田中広輔選手と2番・菊池涼介選手、3番・丸佳浩選手の「タナキクマル」が上位打線に定着。さらに4年目の鈴木誠也選手が「神ってる」活躍をしました。 そしてピッチャーでは5年目の野村祐輔投手が16勝を挙げて最多勝のタイトルを獲得。抑えに定着した中崎翔太投手が34セーブを挙げました。 その選手たちが去年のリーグ連覇でさらに経験を積んで力を付け、加えて、今シーズンは新たにな戦力も台頭したことで、選手の層がぐっと厚くなりました。 打線では3番の丸選手と4番の鈴木選手が共に今年もチームを引っ張りました。中でも、去年のリーグMVPの丸選手は4月下旬に右足をケガし、およそ1か月戦線を離脱したにもかかわらず、復帰後はホームランを量産し、11年目で初めて30本の大台に乗せました。「自分はホームランバッターではない」と謙遜するものの、強打者の証しでもある逆方向への打球が増え、バッターとして進化していることを印象づけました。 また鈴木選手は24歳にしてカープの4番としての自信と風格を感じさせるシーズンとなりました。序盤こそ去年、骨折した右足首の影響で代打での出場が目立ちましたが、シーズン途中に先発メンバーに復帰すると、タイミングの取り方を小さくするなど、「すべて変えた」という打撃フォームで結果を出し、8月の打率は4割超え、こちらも6年目で初めて30号ホームランをマークしました。 一方、新たに台頭したのが4年目の野間峻祥選手でした。これまで主に代走や守備固めで起用されていましたが、課題の打撃力アップに取り組み、丸選手が離脱していた際にはセンターを任されました。そして、5月には、逆転の満塁ホームランを打つなど期待に応える活躍を見せました。そして丸選手が復帰したあともコンスタントに起用され、シーズン終盤には、持ち味の俊足が生きる1番も任されるようになりました。 また投手陣で躍進したのは5年目の大瀬良大地投手です。去年、ルーキーイヤー以来となる10勝を挙げた大瀬良投手は、ストレート強化のため、おととし引退した黒田博樹さんを参考に、投球動作のときに左腕を高く上げ、その反動で右腕を大きく振るフォームに変更しました。さらに事実上解禁となった2段モーションも取り入れたことで球威が増しました。また、スタミナ切れ対策として酢の物を多く食べるなど、食生活にも気を配り、4月から6月にかけて2回の完投を含む7連勝をマークするなど、ローテーションを1度も外れず先発陣を引っ張り、9月1日には両リーグを通じて最も早く、15勝目を挙げました。 若手では2年目の19歳、アドゥワ誠投手が結果を出しました。アドゥワ投手は、4月上旬に1軍デビューを果たした直後からリリーフとして、10試合連続で無失点のピッチングを見せました。バッターの手元で微妙に変化する速球やタイミングを外すチェンジアップ、それに、「大観衆の前でも緊張しない」というマウンド度胸を武器にここまで5勝を挙げています。 さらに、夏場、リリーフ陣がそろって調子を落とす中で、救世主となったのがフランスア投手でした。ドミニカ共和国のカープアカデミー出身でシーズン途中に育成から支配下登録されると、その後はフル回転の活躍。8月にはプロ野球記録に並ぶ18試合に登板しました。 こうして生え抜きの選手を中心に主力と新しい戦力の力がうまくかみあってチームとして成長を遂げた広島。2年前、精神的な支柱として若いチームを優勝に導いたベテランの新井貴浩選手は「若手がすごく力をつけてきている。これからの2年後3年後、5年後のカープのことを考えた時に今年がいいのではないかと考えた」と引退を決意した理由を語りました。今のチームの状況を象徴することばでした。 広島は球団史上初のリーグ3連覇を果たした今シーズン、34年ぶりとなる日本一を目指します。

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