大相撲秋場所初日(9日、 両国国技館、 観衆=1万936)8場所連続休場から土俵へ復帰した横綱稀勢の 里(32)は、 東前頭筆頭の 勢(31)を寄り切って白星発進。 初日…
大相撲秋場所初日(9日、両国国技館、観衆=1万936)8場所連続休場から土俵へ復帰した横綱稀勢の里(32)は、東前頭筆頭の勢(31)を寄り切って白星発進。初日からの出場は1月の初場所以来4場所ぶりで、白星は同場所2日目以来237日ぶりとなった。また、連続休場中に出場した4場所はいずれも初日に黒星を喫して途中休場へ追い込まれており、直近の対戦となった平成29年名古屋場所で敗れた勢に完勝したことで大きな関門も突破した。
これが、稀勢の里だ。横綱だ。館内は千秋楽の結びの一番で、優勝を決めた力士へ送られるような声援と拍手が鳴り止まない。わずか3秒6。今年になってようやく2つ目の白星だが、濃密な勝ち名乗りとなった。
土俵下。勝ち残りで力水をつけるための待ち時間、立ったまま目を閉じて沈思黙考。去来するものを受け止めているようにもみえた。支度部屋でも表情を緩めなかった。
「集中してやれた。やることをしっかりやって、自分の力を出し切りたい」
立ち合い。負傷した左大胸筋などの影響をかき消すように、左腕を固めて左肩から当たる。勢へ圧力をかけ得意の左を差し勝って、迷いなく一気に走って寄り切った。
この日、部屋での朝稽古は部外者に非公開とされた。横綱になって10場所目。出場した東京場所で朝稽古が初日から公開されなかったのは初めてだ。師匠の田子ノ浦親方(42)=元幕内隆の鶴=は「場所中はバタバタするので基本的にお客さんを入れない方向」と説明したが、横綱への負荷を避ける忖度(そんたく)が働いたようだ。