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さよなら築地 ベテランの目に涙、ファンから惜しむ声

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さよなら築地――。 豊洲市場への 移転を控え、 最後の 営業日となった6日、 東京都中央区の 築地市場には働く人の ほか、 見物客ら多くの 人が詰めかけた。 開業時の 面影を残す「セリ場」 に響く最後の 掛け声。 鮮魚店が連なる仲卸売り場で、 この 道一筋に来たベテランの 目に浮かぶ涙。 「とうとうこの 日が来た」 。 …
さよなら築地――。豊洲市場への移転を控え、最後の営業日となった6日、東京都中央区の築地市場には働く人のほか、見物客ら多くの人が詰めかけた。開業時の面影を残す「セリ場」に響く最後の掛け声。鮮魚店が連なる仲卸売り場で、この道一筋に来たベテランの目に浮かぶ涙。「とうとうこの日が来た」。83年の歴史の幕に、それぞれの別れを惜しんだ。
閉場のセレモニーで市場関係者のあいさつを聞く仲買人ら(6日午前、東京都中央区)
午前6時、冷凍マグロ卸売り場で「最後のセリ」の始まりを知らせる鐘が鳴った。台上に立つ「セリ人」の独特の身ぶりや節回しに、仲卸が黙々と「手やり」のサインで価格を示す。700本以上の取引は、5分足らずで締めくくられた。
「本日をもって活動を停止し、歴史に刻まれる」「とうとうこの日が来てしまった」。セリに先立つ午前5時すぎに開かれた「閉場セレモニー」。築地で「大物」と呼ばれるマグロを扱う業界の代表者から、惜別の言葉が続いた。
仲卸の団体、東京 築地魚市場 大物業会の横田繁夫会長(51)は「生産者や卸会社、仲卸、それぞれの思いが集結し、いまの築地ブランドが構築されてきた」と感謝。セレモニーの終わりには、関係者による「最後の手締め」の手拍子が響いた。
仲卸が並ぶ売り場では、最終日も早朝から小型貨物車「ターレ」が路地を行き交った。約100種類の水産物を扱う仲卸の大芳では、商品が飛ぶように売れた。
大芳社長の宇田川浩さん(57)は「お客さんの『おいしかったよ』が聞きたくてこれまでやってきた。本当に支えられた」と振り返る。「戦前、戦後、バブル期と激動の時代をつないでくれた先輩たちに感謝しかない。築地市場にご苦労さまと言いたい」と話し、目から、こらえ切れない涙がこぼれた。
築地場外市場に訪れる多くの観光客ら(6日午前、東京都中央区)
青果仲卸のくしやでは、第一線を退いた社長の杉本雅弘さん(58)が8年ぶりにセリ場に立った。今が旬のマツタケやワサビ――。「久しぶりで楽しかったね」と笑う。常連客の都内の日本料理店店主、佐藤久男さん(60)は杉本さんと記念撮影。「(年の)暮れかと思うぐらい混んでるね」と混雑ぶりに驚き、「どうも、また」と豊洲での再会を誓った。
一般客にも人気の物販・飲食店が立ち並ぶ場内の「魚がし横丁」。昭和レトロな築地の雰囲気を最後に楽しもうと多くの来場者が早朝から長い行列を作った。
場内で以前食べた味が忘れられなかったという相模原市の会社員、粂康子さん(44)は午前6時に夫婦で訪れ、1時間待ちでお目当てのすし店に入店。「閉場前にどうしてももう一度食べたかった。やっぱりおいしかった」と一言。「歴史や風情を感じる古い市場が好きだったから、移転してしまうのは少し悲しい」と名残を惜しんだ。
閉場と共に営業を終える牛丼チェーン店「吉野家」の築地1号店にも多くの客が訪れた。店員が動きやすいコの字のカウンターや、牛丼に絞ったメニュー。狭い店舗で客の回転率を上げるために重ねた工夫は今も日本各地の店舗に引き継がれている。
店長の原田和樹さんは市場移転問題で多くの市場関係者が困惑していた状況を案じ「食事している間だけでもその不安を解消できればという思いで提供してきた」と振り返る。その店も閉じることとなり「常連客から『店長の牛丼が一番おいしいよ』と声をかけてもらったことが一番の思い出だった」と感慨に浸った。

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