英国の 欧州連合(EU)からの 離脱が不透明感を増す中、 製造業を中心に生産拠点を国外に移す「英国離れ」 が加速してきた。 3月29日の 離脱まで1カ月余。 EUと何の 取り決めもない「合意なき離脱」 が現実味を帯びる中、 生産の 落ち込みから英経済が景気後退(リセッション)に陥る可能性も出てきた。
英国の欧州連合(EU)からの離脱が不透明感を増す中、製造業を中心に生産拠点を国外に移す「英国離れ」が加速してきた。3月29日の離脱まで1カ月余。 EUと何の取り決めもない「合意なき離脱」が現実味を帯びる中、生産の落ち込みから英経済が景気後退(リセッション)に陥る可能性も出てきた。
「もはや危機対応計画ではなく、すでに(危機が)現実になっている」。今月12日、メイ首相と経済界幹部との電話協議で、各企業から不満の声が噴出した。英タイムズ紙によると、この会談で米自動車大手フォード・モーターは生産拠点を英国外に移すことを首相に通告。「合意なき離脱」となった場合、最大10億ドルの費用がかかるといい、英国内で働く約1万3000人の雇用が失われかねないと訴えた。
離脱に伴う混乱を避けるため、自動車大手ジャガー・ランドローバーや独BMWは英工場での操業を4月に一時停止する。トヨタ自動車やホンダも、生産調整するほか、日産は一部車種の生産移管を決めた。ホンダの八郷隆弘社長は19日の記者会見で、今回の英工場の生産中止とは関係ないとしつつも「まだまだどうなるか不透明」と混乱を警戒している。パナソニックやソニーは英国にある機能をオランダに移すなど、離脱を見据えた対応を急いでいる。
製造業が拠点の見直しを急ぐのは、貿易の混乱からサプライチェーン(部品供給網)の維持が困難になるためだ。多くの企業は欧州大陸で部品を調達しており、「合意なき離脱」になった場合は、これまでなかった関税が発生する。通関手続きも混乱するとみられ、検査待ちの自動車の列が100キロ以上に及ぶ大渋滞が起こるとの予測も出ている。
英国自動車製造販売者協会(SMMT)によると、18年に英国内で生産された乗用車(151万9440台)の約8割が輸出車で、そのうち52%がEU向け。 SMMTのマイク・ホーズ会長は「政治的な不確実性の中、自動車メーカーはこれまでにない厳しい環境に置かれている」と訴える。
離脱を目前に控えた英経済は既に減速傾向にある。英国立統計局(ONS)が11日に発表した2018年10~12月期の国内総生産(GDP)は前期比0・2%増で、7~9月期(0.