米クアルコムは1日、 4~6月期にアップルから45億ドル(約5千億円)以上を受け取ると発表した。 知的財産をめぐる同社との 訴訟で和解にこぎ着け、 2017年から滞っていた特許使
【シリコンバレー=佐藤浩実】米クアルコムは1日、4~6月期にアップルから45億ドル(約5千億円)以上を受け取ると発表した。知的財産をめぐる同社との訴訟で和解にこぎ着け、2017年から滞っていた特許使用料などを払ってもらう。高速通信規格「5G」での優位性を見せつけた格好だが、アップルと争っていた間にスマートフォン(スマホ)の市場はいっそう成熟。係争中に失ったものも少なくない。
5Gでの優位性でアップルとの和解にこぎ着けたが、スマホ市場の減速など課題も残る=ロイター
4月下旬、米カリフォルニア州サンディエゴの連邦地裁に人影はまばらだった。「しばらくは法廷と事務所から出られないと覚悟していたのだけどね」と、クアルコムとアップルの係争を担当したゴンザロ・クリエル判事は笑う。5週間続く予定だった審理は両社の突然の和解発表により、2日目にして終わった。
6年間の特許使用と複数年の半導体供給で合意したこと以外、両社は和解条件の詳細を明かしていない。クアルコムのスティーブ・モレンコフ最高経営責任者(CEO)は1日の決算会見で、アップルを歩み寄らせた5G関連の事業について時間を割いて説明し「アップルの将来の端末に通信半導体を供給するし、それ以外の技術も提供したい」と自信を見せた。
2時間の映画が3秒でダウンロードできるとされる5G。とりわけスマホのような携帯端末向けの通信半導体ではクアルコムの存在感は群を抜く。同社の5G対応半導体を載せた機器は19年に30機種以上、20年以降も含めると75製品への搭載が決まっている。通信半導体を内製する中国の華為技術(ファーウェイ)を除き、中韓のほとんどのスマホ企業がクアルコムを採用する。
和解の前後で、クアルコムの株価は約5割上昇した。1日終値時点の株価86.