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8年ぶり 町の復活へ駆ける 留学中の20歳、帰国し出陣 福島・浪江

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福島県相馬地方の 夏祭り「相馬野馬追(の まおい)」 が28日、 開幕した。 東京電力福島第1原発事故で全町避難し、 昨年3月に町中心部などの 避難指示が解除された同県浪江町では、 事故後初めて騎馬武者の 出陣式が行われた。 同町出身の 大学生、 山本幸輝さん(20)は留学先の 英国から一時帰国し、 父幸一郎さん(50)、 祖
福島県相馬地方の夏祭り「相馬野馬追(のまおい)」が28日、開幕した。東京電力福島第1原発事故で全町避難し、昨年3月に町中心部などの避難指示が解除された同県浪江町では、事故後初めて騎馬武者の出陣式が行われた。同町出身の大学生、山本幸輝さん(20)は留学先の英国から一時帰国し、父幸一郎さん(50)、祖父幸男さん(75)とともに出陣。「将来、自分の子どもにも経験させられるよう野馬追を続けたい」と決意を新たにした。【高橋隆輔】
山本さんは小学5年の時から参加し、合図のほら貝を吹く「螺(かい)役」などを務めた。震災後も隣接する南相馬市で出陣してきたが、今春「浪江の経験を世界に発信したい」と英国へ語学留学したため、参加を見送るつもりでいた。
「どうしても出てほしい」。5月中旬、留学中の山本さんに依頼したのが、地域の事務方を務める横山秀明さん(43)。野馬追では地域ごとに「郷」と呼ばれる五つの騎馬隊が編成され、浪江町が属する標葉郷(しねはごう)は福島第1原発が立地する双葉、大熊両町も含まれる。浪江町に8年ぶりに戻ってきた野馬追は、今も全町避難が続く両町での復活につながる重要な一歩だ。
横山さんは少しでも立派に出陣をして、次世代へ引き継ぎたいと考え、山本さんに呼び掛けた。山本さんも「期待してくれるのがうれしかった」と、一時帰国を決めた。
山本さんは「町は人がつくる。浪江には(離れていても)顔が浮かぶ人たちがたくさんいる」と話し、将来は浪江町に戻り復興に貢献するつもりだ。「標葉の一員としてみっともない姿を見せないようにと毎年思うが、今年は気合の入り方が違います」。若武者は爽やかに話した。
野馬追は旧相馬藩主の始祖とされる平将門が野馬を放ち武芸を磨いたのが起源とされ、国の重要無形民俗文化財に指定されている。南相馬市を主会場に30日まで開かれ、29日には甲冑(かっちゅう)競馬や神旗争奪戦が行われる。

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