４日に四国と近畿を縦断して日本海に抜けた台風２１号は各地に大きな被害をもたらし、 影響は５日午前になっても続いた。 高潮による浸水で閉鎖された関西国際空港では、 空港島に取り残された利用客ら約３０００人の 救助が５日早朝から始まったが、 空港の 利用再開の 見通しは立っていない。 関西電力の 供給エリアでは午前９時
４日に四国と近畿を縦断して日本海に抜けた台風２１号は各地に大きな被害をもたらし、影響は５日午前になっても続いた。高潮による浸水で閉鎖された関西国際空港では、空港島に取り残された利用客ら約３０００人の救助が５日早朝から始まったが、空港の利用再開の見通しは立っていない。関西電力の供給エリアでは午前９時現在で７府県の約５７万５０００軒が停電し、一部の鉄道路線は始発から運転を見合わせた。大阪府で新たに２人の死亡が確認され、台風による死者は９人となった。【蒲原明佳、山崎征克、山下貴史】
気象庁によると、台風２１号は５日未明には日本海沿岸を北上し、午前９時に北海道の北西にある間宮海峡で温帯低気圧に変わった。
総務省消防庁の集計（５日午前５時半現在）によると、今回の台風による重軽傷者は、近畿や東海を中心に２１府県で２９２人。強風などで損壊、浸水した家屋も３１７棟に達した。
大阪湾に浮かぶ関空は４日、台風の高潮によって２本の滑走路のうち、南東側のＡ滑走路（全長３５００メートル）のほぼ全域と第１ターミナルビルの地下が浸水。５日になっても水が引かず利用再開の見通しが立たないため、この日の国際線と国内線は全て欠航となった。飛行機や作業車両にも被害が出ており、閉鎖が長期化する可能性もある。
強風で流されたタンカー「宝運丸」（２５９１トン）が衝突して損傷した空港連絡橋（全長３．８キロ、上下各３車線）は、５日も通行止めが続いた。西日本高速道路によると、衝突したのは関空へ向かう下り線で、道路の一部にタンカーがめり込み、橋桁がずれるなど大きく損傷した。 ＪＲ関西空港線と南海空港線も運行できず、空港島は緊急車両などを除いて陸路ではアクセスできなくなっている。
海上保安庁の関西空港海上保安航空基地によると、５日午前２時４０分ごろからタグボート３隻でタンカーを橋から引き離す作業を始め、現在は連絡橋から約４００メートル離れた海上で停泊。同基地は同日朝から実況見分を始めた。運輸安全委員会も船舶事故調査官３人を同日中に派遣し、関係者から聴取するなどして事故原因を調べる。
関空を運営する関西エアポートは、空港島で孤立したまま一夜を過ごした利用客ら約３０００人の救助を開始。高速船で神戸空港に運んだほか、連絡橋のうち損傷のない車線でバスを走らせ、島外へ脱出させている。救助作業は５日夜まで続く見通しだ。
鉄道は強風による飛来物の除去作業などが５日も続いており、ＪＲ西日本は東海道・山陽線の高槻－姫路間で運転を見合わせた。南海本線も運休が続いている。東海道・山陽新幹線は始発から運転を再開。西日本高速道路も、５日朝までに大半の道路で通行止めを解除した。
また、台風の影響で大阪府内の男女２人が死亡していたことが、大阪府警への取材で新たに判明した。同府河内長野市では４日夕、自宅２階の屋根から転落した男性（７０）が全身を強打して亡くなった。門真市の路上でも４日、女性（４７）が強風にあおられて転倒し死亡した。毎日新聞の集計では、台風による死者は大阪府７人と三重、滋賀両県の各１人。
