教員の給与のあり方や働き方改革を議論してきた中教審の特別部会は、残業代を支払わない代わりに支給している上乗せ分を、現在の…
教員の給与のあり方や働き方改革を議論してきた中教審の特別部会は、残業代を支払わない代わりに支給している上乗せ分を、現在の月給の4%から10%以上に引き上げるべきだとする素案を示しました。実現すれば半世紀ぶりの引き上げとなりますが、実際の勤務時間に応じた残業代が支払われない枠組みは残ることになります。
教員不足や長時間労働が深刻な課題となる中、文部科学省の中教審=中央教育審議会の特別部会は、去年 から働き方改革や処遇改善を議論していて、 、素案を示しました。
素案では、公立学校の教員の給与について、「給特法」という法律で50年余り前の月の残業時間の平均およそ 間分に相当する月給の4%を上乗せする代わりに残業代が支払われないあり方をめぐり、優れた人材を確保するため月給の上乗せ分を現在の4%から少なくとも10%以上にする必要があるとしています。
仮に10%となれば、文部科学省の試算をもとにすると32歳の教諭で月給およそ30万円の場合、上乗せ分は現在のおよそ1万2000円からおよそ3万円に増額されます。
「給特法」の改正が必要で、10%であれば追加の公費負担は2100億円となりますが、実現すれば半世紀ぶりの引き上げとなります。
一方、給特法については、勤務時間に応じた残業代が支払われない枠組みの抜本的見直しを求める声もあがっていましたが、素案では高度専門職である教員の仕事は自発性や創造性に委ねる部分が大きく職務の線引きが難しいとして、一律で上乗せする枠組みは残ることになりました。
このほか
▽「教諭」と「主幹教諭」の間に中堅ポストを創設し、「教諭」より高い給与にすることや
▽学級担任への手当の加算や管理職手当の改善をすること
▽教科担任制を現在の小学5、6年生から3、4年生に広げることや
▽支援スタッフの配置の充実も盛り込まれました。
特別部会は にも議論をまとめることにしています。 働き方改革や処遇改善 素案の内容は
今回の素案では教員の働き方改革や処遇改善について、さまざまな内容が盛り込まれました。
【教員の働き方改革は】
働き方改革については目標を設定すべきだとしたうえで
▽残業時間が「過労死ライン」と言われる月 間を超える教員をゼロにすることを最優先とし
▽すべての教員が国が残業の上限としている月 間以内となることを目標として
▽将来的には残業時間の平均が月 間程度になることを目指すべきだとしています。
また取り組みには教育委員会や学校の間で差があるとして、業務量や改善に向けた進捗(しんちょく)状況をすべての教育委員会が公表する仕組みの検討が必要だとしています。
【学校の体制の充実は】
指導や運営の体制については
▽ほとんどの教科を1人で教えている小学校の学級担任の受け持ち授業数を減らすため、教科ごとに専門の教員が指導する「教科担任制」を現在の小学5、6年生から3、4年生にも広げるとしています。
▽また新卒の教員は学級担任ではなく教科担任にするなどして若手を支援する例もあるとし、いずれも教員の定数改善が必要だとしています。
ほかにも
▽急増する不登校の児童や生徒をきめ細かく支援するため、生徒指導専任の教員や養護教諭の配置の充実のほか
▽教員業務支援員やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどの支援スタッフの配置の充実が必要だとしています。
【処遇の改善は】
上乗せ分の引き上げ以外にも、勤務状況に応じた処遇に向けては
▽「教諭」と「主幹教諭」の間に学校内外との連携や若手教員のサポートを行う中堅ポストを設け、給与体系にも新たな級を創設して「教諭」より高い給与にすることや
▽保護者の相談対応などに取り組んでいるとして学級担任の手当を新たに加算すること
▽管理職の適切な学校運営が必要だとして管理職手当を改善することも盛り込んでいます。 「給特法」は“定額働かせ放題” これまでの経緯
公立学校の教員の給与を定めた「給特法」は、“定額働かせ放題”とも言われ抜本的な見直しを求める声も上がっていました。
教員の仕事は子どもへの対応など特殊性があり勤務時間の線引きができないとして、半世紀以上前の に制定された「給特法」では、残業代を支払わない代わりに月給の4%分を「教職調整額」として上乗せする仕組みになっています。
これは 度の勤務実態調査の結果に基づき、当時の月の残業時間の平均およそ 間に相当するものでしたが、その後、教員の業務は増加して長時間労働が問題となり、実態とかけ離れていると指摘されてきました。
に文部科学省は明確な基準がなかった残業時間の上限を月に 間以内としましたが、 度に6年ぶりに行われた勤務実態調査では
◇月の残業時間が 間を超えるとみられる教員は
▽中学校で77.