Home Japan Japan — in Japanese 米教育長官、薄氷の承認 初の副大統領票決着 (写真=ロイター) :日本経済新聞

米教育長官、薄氷の承認 初の副大統領票決着 (写真=ロイター) :日本経済新聞

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NewsHub【ワシントン=大塚節雄】米上院で7日、ベッツィ・デボス氏を教育長官に充てる人事の承認を巡る採決があり、賛否が50対50と真っ二つに割れる異例の結果となった。上院議長を兼ねるペンス副大統領が賛成票を入れ、人事はかろうじて51対50で承認された。可否同数の場合、副大統領が議長決裁の票を入れる規定がある。上院によると、閣僚承認での適用は初めて。
米教育長官に承認されたベッツィ・デボス氏(7日)=ロイター
上院の議席数は共和党の52に対し、民主党が48と拮抗している。今回はデボス氏の資質が問題視され、民主が一枚岩となって激しく抵抗。共和党議員からも2人の造反があった。トランプ政権の閣僚人事は承認作業の混乱や遅れが目立ち、政策運営に悪影響が及ぶ可能性もある。
デボス氏はミシガン州の大富豪デボス家に嫁ぎ、教育問題の慈善家として活動してきた。共和党の大口献金者でもある。トランプ氏の支持者ではなかったが、女性候補の目玉として指名された。
デボス氏は、保護者や教師らが公費で自主運営する学校「チャータースクール」の推進論者として知られる。教育分野への民間活力の活用策として、学力向上などの成功例も指摘される。公費で私立学校の授業料を援助する「バウチャー制度」の拡充も唱えてきた。
ペンス氏は採決後、「大統領に投じるよう請われた1票は米国の未来のためでもあった」との声明を発表。デボス氏を先頭に、教育システム改革を進める考えを示した。
一方、デボス氏の主張には、公立学校の予算削減に危機感を募らせる教職員組合などから「公立教育システムの破壊につながる」といった反発も強い。チャータースクールの進出状況や成否によって「地域間や学校間の教育格差が広がる」といった批判もある。
デボス氏は公聴会で公立学校の民営化など急進的な改革を主張。公立教育に関する基本的な事柄に答えられないこともあったほか、学校への銃持ち込みがヒグマ対策のために許可されうるといった「珍回答」も出て、民主党内で「教育長官としての資質に欠ける」との主張に勢いがついた。
トランプ政権の閣僚・政府機関トップの承認は7人目。オバマ前政権では就任初日で7人の閣僚が上院承認を得ており、出遅れが鮮明になっている。政権の本格始動の遅れは、政策展開にとっても逆風になりそうだ。

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