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大予測! トランプはどんな大統領になるか

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NewsHub立教大学ビジネススクール教授 田中道昭
アメリカ合衆国第45代トランプ大統領が誕生した。彼はいったいどんな大統領になるのだろうか。就任演説では総じて大きな失望感を与え、アウトサイダー的な大統領としてのスタートを切ったトランプ。もっとも、これからの不透明で不確実な世界情勢の中で、トランプをそのような単純な見方だけで片付けるのでは不十分だろう。
私は、2016年12月にトランプ次期政権移行チームのメンバーが来日した際に、トランプのことを側近として熟知している人物から直接話を聞く機会に恵まれた。
その人とは、次期政権移行チームメンバーであり、大統領選挙における安全保障での上級顧問およびミシガン州における選挙対策委員長を務めたピーター・フークストラ氏だ。彼から聞いた“トランプ、3つのポイント”は、大統領就任後、どのような政策を実行していくのかを予測するのに大きな示唆を与えるものである。
まず「一流の国際的ビジネスマン」であるということがトランプの本質であり、政治の世界においても「一流の国際的ビジネスマン」としての優れた知見を発揮するであろうということだ。トランプは不動産デベロッパーである。現代の不動産ビジネスは、上場の金融商品でもあるREIT(不動産投資信託)を通じて、グローバルの不動産マーケットはもとより、債券・株式・外国為替マーケットと密接につながっていることが特徴だ。トランプ自身が、採用した政策がマーケットに与えるインパクトを、国際的な不動産ビジネスを通じて肌感覚で理解しているものと考えておくべきだろう。
次に、「ハードネゴシエーター」と「交渉戦略×マーケティング戦略」という点は、セットで理解する必要がある。交渉相手として見たら、「ハードネゴシエーター」であることは言うまでもないが、一部の識者が指摘しているような「ハードボールを最初に投げておいて、そこから落とし処を探る」といった単純な交渉術を「交渉戦略」と言っているのでないことは明らかである。
交渉戦略やゲーム理論は、トランプが卒業したウォートンを始めとする米国のビジネススクールでは必修科目である。そこでは利害関係者の利害分析や複数のシナリオ分析から始まって、最後にはベースケース・ワーストケース・ベストケースなどの交渉戦略を策定し、さらにはどのような交渉戦術で戦っていくのかを学ぶのだ。
交渉戦略における利害関係者分析においては、「抵抗しない・抵抗する・反対する×協力しない・協力したい・賛成する」の3×3の掛け合わせで導かれる利害関係者反応マトリックスなどを策定することは常套手段である。その知見が生かされたのが今回の大統領戦でのターゲット戦略でもあったわけだ。「ハードボールを最初に投げておいて、そこから落とし処を探る」といった単純な交渉術をもって、自らのことを「取引の天才」と称しているわけではないのは確実だろう。
なお、複数の共和党のメンバーから直接聞いた話では、トランプ側近には中国の南沙諸島軍事拠点化に懸念を示すメンバーが多く、トランプ自身も同様に快く思っていないようである。2016年12月に、トランプは正式な外交関係がない台湾総統と異例の電話会談を行った。これに対し中国外交部は、米国の関係各所に申し入れを行ったと明らかにした。この電話の一件は、私には、トランプが単に経済面での交渉のジャブとして中国に放ったものではないような気がするのだ。

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