電通の山本敏博新社長は毎日新聞のインタビューに応じ、女性新入社員の過労自殺問題を受け、「労務改革を断行することが私の使命。2年間で改革を終わらせる」との決意を語った。電通はすでに深夜残業禁止(午後10時消灯)などを実施しているが、今年4月をめどに2年後の目標を定めた改革の工程表を作成し、進捗(しんちょく)状況などをチェックしながら改革を進める考えを明らかにした。
山本氏は今年1月23日、一連の問題を受けて引責辞任した石井直前社長の後任として、常務執行役員から社長に昇格。昨年11月に社内に設けた「労働環境改革本部」の一員として改革を進めたことが評価された。
山本氏は過労自殺問題の原因について、「(長時間労働が常態化していた)社内風土などさまざまな要因が複合して起きた。企業としてリスク認識が足りなかった」との見解を示した。労務改革について、「表面的では意味がない。法令順守や社員の健康を守ることが、仕事の質や業績の向上、最終的には電通の社会的な存在感の高まりにつながるという本質的な改革にしたい」と話した。
電通では過労自殺問題のほかにも、インターネット広告で、実際には広告を掲載していないのに広告主に料金を請求したことなどが発覚。不正請求は96社から請け負った997件、総額1億円超に上った。電通は担当部署の人員増強などの再発防止策を実施する考えで、山本氏は「(広告主らの)信頼回復に向けて全力で取り組む」と強調した。【浜中慎哉】
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