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植民地抑圧も論戦に 和解vs正当化

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【パリ賀有勇、 ベルリン中西啓介】 7日に決選投票が行われるフランス大統領選では、 仏領だったアルジェリアなどに対する植民地政策について、 中道・ 独立系の マクロン前経済相が「人道に対する罪」 と発言し、 極右政党・ 国民戦線(FN)の マリーヌ・ ルペン氏から批判されるなど、 歴史認識でも論争となった。 新大統領の 誕生が、 歴史認識にどう影響を与えるかも注目されている。
【パリ賀有勇、ベルリン中西啓介】7日に決選投票が行われるフランス大統領選では、仏領だったアルジェリアなどに対する植民地政策について、中道・独立系のマクロン前経済相が「人道に対する罪」と発言し、極右政党・国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン氏から批判されるなど、歴史認識でも論争となった。新大統領の誕生が、歴史認識にどう影響を与えるかも注目されている。
フランスは1970年代まで、アフリカやアジアなどに植民地を所有。仏本国からの入国者を優遇し、先住民らに抑圧政策を敷いた。アルジェリアでは54年、不満の高まりが武装蜂起に発展。独立阻止を目指す仏政府と戦争になった。61年にはパリでアルジェリア独立を訴えたデモ隊に警察が武力介入。多数がセーヌ川に放り込まれるなどし死亡した。事件は今も仏国内でタブー視され、正確な犠牲者数は不明だ。
マクロン氏は2月、アルジェリアを訪れ、旧植民地政策について「人道に対する罪だ」とテレビのインタビューで発言。仏政府はこれまでアルジェリアに対して謝罪しておらず、大統領候補としては踏み込んだ発言だ。
マクロン氏を痛烈に批判したのがルペン氏だ。 FNはアルジェリア戦争に従軍経験があるルペン氏の父ジャンマリ氏が創設した経緯から、植民地政策の「肯定」が党是。マクロン氏の発言を受け、ルペン氏は植民地時代を否定する歴史観を「マゾヒズム」と批判。「フランスは植民地に文化を与えようとした」と述べ、正当化した。
仏国内では長年、植民地政策をどう総括するか、世論が二分されてきた。2005年には保守派の主導で「仏植民地支配を肯定する法」が成立。アルジェリアなどでの植民地政策について、学校教育で「肯定的役割」を教えるよう記した法律の条項は世論の強い反発を招き、シラク大統領(当時)が翌年この条項を廃止している。
第二次世界大戦後、旧植民地からフランスに多くの人が移り住み、大都市郊外の低所得者用団地などで暮らしてきた。フランスへの同化政策に従ってきた移民1世や2世以降の世代の中には、差別などから孤立を深めてイスラム過激思想に染まる若者も後を絶たず、社会問題化している。
長期的なテロ根絶のために、植民地政策の状況解明や謝罪が必要だという意見は、左派の間で根強い。
フランス出身で、独ビアドリーナ欧州大のトマ・セリエー客員教授(歴史学)は「和解政策の重要性を説いた哲学者ポール・リクエール氏の元助手でもあるマクロン氏は、和解に向けた強い意志を感じさせる」と分析。「若者の意見を代表するマクロン氏と、アルジェリアでの拷問疑惑がある父を持つルペン氏の対立は、仏国内の世代間論争という側面もある」と語った。

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