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米先行、動けぬ日銀 金融緩和9カ月連続維持

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日銀は16日の 金融政策決定会合で大規模な金融緩和の 維持を決めた。 金融政策の 維持は9カ月連続だ。 黒田東彦総裁は記者会見で「デフレマインドの 転換には時間がかかる」 と話し、 好景気でも弱い物価に表情を曇らせ
日銀 は16日の金融政策決定会合で大規模な金融緩和の維持を決めた。金融政策の維持は9カ月連続だ。黒田東彦総裁は記者会見で「デフレマインドの転換には時間がかかる」と話し、好景気でも弱い物価に表情を曇らせた。米国の利上げも追い風だが、金融引き締めで追随できる環境にはなく、動けぬ日銀が鮮明だ。 日銀は今回の決定会合で、短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度に誘導する金融緩和策(長短金利操作)の現状維持を決めた。国内景気の判断も「緩やかな拡大に転じつつある」とした前回の判断を踏襲。大方のエコノミストの事前予想通り、ほぼ無風の会合となった。 弱い物価は日本の足かせにほかならない。 「経済は緩やかな拡大を続ける」。黒田総裁は景気の先行きに自信を見せた。2012年12月に始まった景気回復はバブル経済期を抜いて戦後3番目の長さ。物価を左右する需給ギャップも改善し、物価は上がりやすい状況にある。 だが、実際の物価上昇率は0%程度で低迷したままだ。需給ギャップが改善しても物価が上昇しない現象は先進国共通だが、日本の弱さは際立つ。物価が上がらなければ、企業収益の向上につながらず、家計の実入りも増えない。「2%目標に向けての道はまだかなりある」。黒田総裁は物価目標の達成に時間がかかると認める。 金融緩和の強化はとりえない選択肢だ。まだ18年度に目標を達成する物価上昇シナリオを維持しているうえ、長引く緩和の副作用への懸念も強まっている。一部エコノミストは金融政策を正常化する過程での日銀の財務悪化が問題とし、日銀に出口戦略のシナリオを示すよう求める。 黒田総裁は出口シナリオの早期開示について「(後の変更で)かえって市場混乱を招く恐れがある」と反論。過度な緩和を縮小すべきだとの意見に対しては、「緩和期間が長くなる問題よりも、デフレに戻る懸念を避けて物価安定目標を達成することがはるかに大事だ」と強調した。自縄自縛に陥っている。 金融引き締めで先行する米国との差も開きかねない。 米連邦公開市場委員会(FOMC)は14日、年3回の利上げペース維持と年内の資産縮小の開始を決めた。金融引き締めで米金利が上がれば、日米金利差の拡大で円安・ドル高となり日本企業の収益改善につながる。 歴史をさかのぼると、日銀は結果的に米連邦準備理事会(FRB)の利上げに追従して金融引き締めを探ってきた。日銀内では「米国には何とか継続的に利上げを続けてほしい」(幹部)と期待する声がある。米国経済が利上げを受け入れる環境にあれば、日本の輸出力も維持でき、日銀も金融引き締めに向かえる。 だが、米国も足元では物価や個人消費で弱い統計が目立ち始めている。利上げ局面で上がるはずの米長期金利は低迷しており、14日には一時、7カ月ぶりの低水準を付けた。市場が米景気の減速を見通しているためだ。黒田総裁は「米金利は上がっていくかもしれない」と指摘したが、米国経済の先行き不透明感が一段と強まれば、日銀の金融政策の視界も不良になる。

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