史上51人目の プロ通算2000安打を達成 わずかボール一つ分の 感覚が打撃開眼へとつながった--。 プロ野球・ 福岡ソフトバンクホークスの 内川聖一内野手(35)が右打者最高打率で初の 首位打者を獲得した2008年。 横浜(現DeNA)で打撃コーチだった杉村繁氏(現・ ヤクルト巡回コーチ)との 出会いが内川の 考え
わずかボール一つ分の感覚が打撃開眼へとつながった--。プロ野球・福岡ソフトバンクホークスの内川聖一内野手(35)が右打者最高打率で初の首位打者を獲得した2008年。横浜(現DeNA)で打撃コーチだった杉村繁氏(現・ヤクルト巡回コーチ)との出会いが内川の考え方を変えた。
「彼は(より投手寄りの)前で打つのが得意だった。前で打てばボールも飛ぶから。だが、『それは今の野球じゃだめなんじゃないの』って言った」と杉村氏は振り返る。当時の内川は長打欲しさに打点を前に置き、引っ張ろうとしてツーシームなど動く球で打ち取られていた。それを見た杉村氏は、内川に「全部引っ張らなくても、しっかり打っていけば安打の確率は高まる」と指導し、体の近くに球を打つポイントを移動させた。
シーズンが始まる前の自主トレーニング中、内川は両親に「今年ダメだったらやめるわ」と宣言していた。将来を嘱望されながら、当時は1軍と2軍を行ったり来たり。覚悟を決めて杉村氏との打撃改造に取りかかった。ポイントを体に染み込ませる、バットで8の数字を描くように打ったり、トスを真横から上げたりするなど6種類ものティー打撃を繰り返し、高い打撃技術の礎を作り上げた。
杉村氏は、内川の長所は「謙虚な向上心」だという。「常に研究しながら『もっと上に行くんだ』といつも考えている」。現在の通算打率は3割8厘で歴代10位。ブーマー(元阪急など)が持つ右打者最高の3割1分7厘の更新も夢ではない。【生野貴紀】