素早い身のこなしで大横綱を倒した。荒鷲は左へ変わり気味に立って上手を引き、すぐに振った。差した右もしっかり返して寄ったから、白鵬は抵抗できない。わずか３秒足らずでの完勝。巻き起こした波乱に、無数の座布団が館内を舞った。
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「何でも思い切ってやろうと。そうやってよかった」。右の相四つの白鵬に真っ向勝負を挑んでも勝ち目はない。普段はひょうひょうとしている３０歳が、初の結びで肝の据わったところを見せた。 土俵下の藤島審判長（元大関武双山）は「稽古場で１０００番やっても白鵬は負けないだろうが、荒鷲の気迫は大したもの」と評した。先場所で左膝を痛めた影響で稽古は足りない中、自己最高位を務めて白鵬の初顔相手の連勝を２８で止めた。今場所の２勝はともに金星。これだから、相撲は分からない。 所属部屋の閉鎖で転籍が続き、現在が三つ目の部屋。そんな苦労も報われたが、「まだ終わっていないから。引退してから考えると思う」と感慨には浸らない。こんな冷静さもあるから、少ない勝機を見いだせたのかもしれない。（2017/01/15-21:36）
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