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余録:東京都内のデパートにある催し物会場は…

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東京都内の デパートにある催し物会場はにぎわっていた。 3月3日まで続くひな人形の 展示即売会。 幼い娘や孫の 節句を祝うため、 両親や祖父母が熱心に品定めしている。 先月、 同じフロアで写真展が開かれた。 「めぐみちゃんと家族の メッセージ 横田滋(しげる)写真展」 ▲横田めぐみさんが13歳の 時に北朝鮮に拉致されて今年で40年。 生まれてから父滋さんや母早紀江(さきえ)さんが撮りためた写真を中心に展示された。 「写っているかつての 楽しかった時間を取り戻したい」 。 見るの もつらい写真をあえて公開するの も…
東京都内のデパートにある催し物会場はにぎわっていた。3月3日まで続くひな人形の展示即売会。幼い娘や孫の節句を祝うため、両親や祖父母が熱心に品定めしている。先月、同じフロアで写真展が開かれた。「めぐみちゃんと家族のメッセージ 横田滋(しげる)写真展」▲横田めぐみさんが13歳の時に北朝鮮に拉致されて今年で40年。生まれてから父滋さんや母早紀江(さきえ)さんが撮りためた写真を中心に展示された。「写っているかつての楽しかった時間を取り戻したい」。見るのもつらい写真をあえて公開するのも、その一心からだ▲生後間もない双子の弟が早紀江さんに抱っこされている。4歳のめぐみさんが待ち望んだ兄弟だ。そのほっぺにキスをした瞬間の写真がある。石油ストーブが部屋を暖める。早紀江さんは「その時のストーブのにおいを今も覚えている」と語る▲大人になっためぐみさんとみられる写真もある。北朝鮮が公表した時、両親はすぐに本人と確信したという。両手をおなかの前で組み、右足を少し前に出している。滋さんが写真を撮る時に取らせていたポーズだった。両親が目にした時の気持ちは想像を絶する▲忌まわしい暗殺事件が連日報道される中、拉致被害者の家族会と支援組織は年内救出を政府に求める運動方針を決めた。何か力になれないか。ひな人形を買い求めるのと同じように、どこの家族も大事にしている幸せが奪われた。せめてそのことを解決の日まで忘れまい▲滋さんの思いがつづられたパネルがあった。「嫁に行く時にでも持たせようかと考え、撮り続けてきました」。父はその写真を娘にまだ渡せていない。

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