介護施設の 職員による高齢者への 虐待が2015年度中に408件あり、 過去最多を更新した。 調査を始めた06年度から9年連続の 増加。 全国の 自治体による集計を厚生労働省が21日に発表した。 職員の 知識不足やス…
介護施設の職員による高齢者への虐待が2015年度中に408件あり、過去最多を更新した。調査を始めた06年度から9年連続の増加。全国の自治体による集計を厚生労働省が21日に発表した。職員の知識不足やストレスが主な要因となっている。 調査は虐待の通報義務を定めた高齢者虐待防止法に基づき、相談や通報を受けた自治体が虐待と判断した件数をまとめた。被害者は前年度より12・6%多い778人に上る。 被害の内訳は、暴力や身体拘束などの「身体的虐待」が最も多い478人(61・4%)だった。侮辱的な発言などの「心理的虐待」が215人(27・6%)、食事を与えないなどの「介護等放棄」が100人(12・9%)で続いた。 虐待の要因(複数回答)は「教育・知識・介護技術等に関する問題」(65・6%)や「職員のストレスや感情コントロールの問題」(26・9%)が多かった。 虐待による死者(1人)の報告も初めてあった。広島市の認知症グループホームで15年5月に発生。入居女性(82)が2階から転落したが、発見した職員は部屋に寝かせただけで救急車を呼ばずに放置し、その後、出血性ショックで死なせた。この案件は「介護等放棄」にあたる。 虐待の相談・通報件数は1640件(前年度比46・4%増)で、6年連続で過去最多を更新。問題意識が高まり、虐待が表面化しやすくなったという背景もある。 家族や親族による虐待は1万5976件で前年より微増。被害者は計1万6423人で、そのうち死亡した人が20人いた。加害者は息子が4割、夫が2割だった。「加害者の介護疲れやストレス」(25・0%)、「加害者の障害・疾病」(23・1%)、「被害者の認知症の症状」(16・1%)が主な要因(複数回答)となった。 厚労省は近く、虐待の未然防止に向けて介護職員のストレス対策などを求める通知を自治体に出す。 <アピタル:ニュース・フォーカス・その他> http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/ (水戸部六美)