イタリア南部シチリア島タオルミナで開かれている主要7カ国首脳会議(G7サミット)は27日、 首脳宣言を採択して閉幕した。 「米国第一主義」 をとるトランプ米大統領の 初参加で、 自由貿易や地球温暖化対策をめぐ…
イタリア南部シチリア島タオルミナで開かれている主要7カ国首脳会議(G7サミット)は27日、首脳宣言を採択して閉幕した。「米国第一主義」をとるトランプ米大統領の初参加で、自由貿易や地球温暖化対策をめぐる意見調整は難航。米国は最終的に「開かれた市場を堅持し、保護主義と闘う」との文言を首脳宣言に盛り込むことを受け入れた。 首脳宣言は昨年の伊勢志摩サミットでは英文で32ページだったが、今回は6ページ程度にとどまった。 「あらゆる保護主義と闘う」と誓ってきたこれまでの首脳宣言を踏襲できるかは、世界経済をめぐる議論で最大の争点だった。 欧州各国の首脳から反保護主義の主張が相次いだのに対し、トランプ氏は貿易制裁の導入にも余地を残したい立場だ。「我々は相手国と同等に対応するという、相互主義の貿易の定義を強調した」(米政府高官)という。閉会直前まで続いた折衝の結果、「貿易は必ずしも全員の利益をもたらしてこなかった」といった、トランプ氏の主張に沿う文言を加えることで説得にこぎ着けた。 一方、トランプ氏が離脱を示唆している気候変動対応の国際枠組み「パリ協定」を巡って、首脳宣言は「米国が政策を見直している途中であることを理解する」という異例の言及となった。トランプ氏は27日、ツイッターで「パリ協定については来週(28日からの週)に最終決断を下す」と表明した。 最終日の27日は、イタリアが主導して難民・移民問題が話し合われた。サミット会場のシチリア島は、北アフリカから地中海を渡る難民や移民の玄関口で、沖合での密航船の転覆事故も絶えない。難民・移民の出発地や経由地であるアフリカ5カ国の首脳らを招いた議論では「アフリカの開発が難民対策につながる」として、G7として支援を強めることで一致した。 ロイター通信によると、イタリアは当初、工業国への合法的な移住の門戸を広げることで、密航の流れを抑制する提案をしていた。だがサミット前から米国や英国が治安を理由に強く反対し、移動の自由に関する文言は弱められたという。 首脳宣言は、難民・移民について「緊急、長期のアプローチが必要だ」と合意する一方、米英などに配慮し、「国境の管理は国家の主権的権利」と言及した。 また核・ミサイル開発を進める北朝鮮について、首脳宣言は世界の平和と安定にとって「新たな段階の脅威になっている」と指摘。国連安全保障理事会の決議に従うよう求めた。シリア情勢については、アサド政権を支えるロシアやイランに対して「悲劇を止めるために影響力を最大限行使すべきだ」と求めるとともに、過激派組織「イスラム国」(IS)などを打倒する努力を強めるとした。 議長を務めたジェンティローニ伊首相は、閉幕の記者会見で、「従来以上に『本物』の首脳会議だった。ただ会うだけではなく、相違点を明確にした」と述べた。(タオルミナ=山尾有紀恵、斎藤徳彦)