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【主張】 診療報酬改定 高齢患者増への備え急げ

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人口の 多い団塊世代が75歳以上となり、 社会保障費の 急増が予想される「2025年問題」 が懸念されている。 これにどう対応していくかという視点がまだ足りない。 来年度の …
人口の多い団塊世代が75歳以上となり、社会保障費の急増が予想される「2025年問題」が懸念されている。これにどう対応していくかという視点がまだ足りない。
来年度の診療報酬と介護報酬のダブル改定には、今後の医療・介護のあるべき姿を描く役割が期待されている。その大枠となる改定率が固まった。
診療報酬は、医師の技術料にあたる「本体部分」を0・55%引き上げる一方、薬価を1・74%引き下げ、全体ではマイナスとした。介護報酬は0・54%の引き上げで決着した。
財務省などは「本体部分」を含めたマイナス改定を主張した。だが、民間病院や介護事業者には、過去のマイナス改定のあおりを受けて、倒産や診療科の閉鎖に追い込まれたところもある。
待遇の悪さから看護師や介護スタッフが集められず、必要な医療や介護サービスを受けられない地域が増えていくのでは、「介護離職」の解消も難しくなる。新薬への加算を有用性の高いものなどに絞り込み、薬価は毎年改定へと改めることになった。
こうした点も勘案すれば、社会保障費の抑制と、医療・介護事業者の経営安定化という2つの要請を同時に実現する、ギリギリの改定率だといえよう。
問題は、プラス改定となった「本体部分」や介護報酬をどう配分するかである。今後の厚生労働省内での検討では、2025年問題に対応し得るよう、メリハリを利かすことを求めたい。
患者の高齢化で生活習慣病や認知症が多くなった。手術など短期で完治を目指す医療よりも、自宅などで長期に治療に取り組む医療を受ける人がますます増えよう。医療機関同士の役割分担や医療と介護の連携を強め、ニーズに応えていかなければならない。
例えば、「かかりつけ医」による看取(みと)りや、情報通信機器を使用した遠隔医療、状態改善に効果の高いリハビリなどに、手厚く配分すべきだろう。
医療費や介護費の伸びの抑制を、報酬の引き下げに求めることには限界がある。民間病院の過剰投資や、必ずしも必要でない入院や検査の重複の是正など、改善すべき点は数多く残されている。
2025年問題への備えは、制度改革や国民の健康づくりなど、トータルで考える必要がある。

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