震度7を観測した地震や台風21号で大きな被害を受けた北海道と関西国際空港の インフラ復旧が前倒しで進んでいる。 地震で停止した 北海道電力 の 苫東厚真火力発電所1号機(出力35万キロワット)は当初の 9月末から前倒して再稼働する。 2号機(同60万キロワット)も予定より早く運転できる可能性が…
震度7を観測した地震や台風21号で大きな被害を受けた北海道と関西国際空港のインフラ復旧が前倒しで進んでいる。地震で停止した 北海道電力 の苫東厚真火力発電所1号機(出力35万キロワット)は当初の9月末から前倒して再稼働する。2号機(同60万キロワット)も予定より早く運転できる可能性が出てきた。関空の鉄道運行も当初の見込みより早く、18日再開した。
北海道電力の苫東厚真火力発電所(北海道厚真町)=共同
1号機について北海道電は、18日の稼働を目指していた。ただ、ボイラー内を循環する水の入れ替え・ろ過作業に時間がかかり、19日午前9時以降に延期した。同社は「設備のトラブルによるものではない」と説明。予定通り19日に1号機が稼働すれば、地震前のピーク需要383万キロワットを上回る391万キロワットの平均供給力を確保できる。
2号機はボイラー配管の11カ所で亀裂や断裂などが発生。18日までに配管を交換し、破損箇所がないか確かめる「水圧試験」を完了。近く試運転を始める見込みで、10月中旬としていた再稼働が早まる可能性がある。
ただ、道内電力の最大需要期は冬季だ。2018年1月の需要は最大で525万キロワットだった。今冬も現在より需要が増えるのは確実だ。
北海道電は供給力積み増しへ、定期点検中の火力発電所の再稼働を急ぐ。知内発電所2号機(35万キロワット)と苫小牧発電所(25万キロワット)、子会社が運営する苫小牧共同発電所(25万キロワット)を、冬までに動かす方針だ。苫東厚真2号機を含め供給力は536万キロワットとなり、昨冬の最大需要量を上回る。さらに出力70万キロワットの苫東厚真4号機が動けば、供給に余裕がでる。
ただ、懸念もある。北海道電の火力は老朽施設が多い。稼働から40年の音別発電所2号機(7万4千キロワット)はガスタービンの異常振動で現在も止まったまま。老朽施設のトラブルが相次げば、供給力に余裕がなくなる。
今回の道内での大規模停電について、世耕弘成経済産業相は18日、原因などを検証する第三者委員会を経産省の認可法人、電力広域的運営推進機関に設置すると明らかにした。21日に初会合を開く。また、JR北海道の島田修社長は18日、停電などで列車が運休したことで19年3月期の鉄道収入が11億円減る見通しを示した。