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APEC首脳宣言断念 米中対立、地域経済協力に影

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パプアニューギニアで開かれていたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の 首脳会議が首脳宣言の 採択断念に追い込まれた。 米国と中国との 通商政策を巡る非難合戦が激化し
【ポートモレスビー=遠藤淳、鳳山太成】パプアニューギニアで開かれていたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議が首脳宣言の採択断念に追い込まれた。米国と中国との通商政策を巡る非難合戦が激化し、首脳レベル間の協議でも歩み寄れなかった。二大国の対立は地域の経済協力の枠組みに影を落とし始めた。
「一つ、二つの項目で合意できなかった。代わりに議長声明を出す」。2018年のAPECの議長国パプアのオニール首相は首脳会議閉幕後、記者団にこう述べた。
米中間の対立は15日に開かれた閣僚会議から浮き彫りになっていた。米国は公正で互恵的な貿易の必要性を強調し、貿易慣行が不公正な国があるとして、名指しを避けながらも中国を批判。中国は「米国第一主義」を掲げる米国を念頭に「単独主義」を非難した。
首脳宣言は実務レベルで先に作成作業が進められていたが、日本経済新聞が入手した15日夜時点の案では既に埋めがたい溝ができていた。米国は「多角的貿易体制」の項目を世界貿易機関(WTO)の改革に関する項目に変えるよう要求、「貿易をゆがめる全ての慣行の撤廃を求める」と盛り込むよう主張した。中国は「単独主義と対抗する」との表現を求めた。
首脳会議でも、トランプ米大統領の代理で出席したペンス米副大統領が、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席を前に強硬姿勢を崩さなかったもようだ。外交筋によると、首脳会議が開かれていた18日午前の時点でパプアは米国案に沿った議長案を各国に提示、中国が強く反発したとみられる。
米中はAPEC首脳会議に向けた一連の国際会議で日を追うごとに対立を深めてきた。15日にシンガポールで開いた東アジア首脳会議では、中国の李克強(リー・クォーチャン)首相が南シナ海問題で米国の介入をけん制すると、ペンス氏は「中国の南シナ海における軍事拠点化や領域拡大は違法で危険だ」と名指しで糾弾した。
舞台はAPECに移る。習氏が17日の演説で「保護主義や単独主義に反対する」と唱えると、直後に登壇したペンス氏が返す刀で中国の不公正貿易や広域経済圏構想「一帯一路」を皮肉を込めながら厳しく批判した。
ペンス氏は18日、記者団に対し、APEC期間中に習氏と2回接触したことを明らかにした。「米国は(中国との)よりよい関係に関心があるが(中国側の)変化がなければいけない」と語りかけたところ、習氏は「対話が大事だと思っている」と答えたという。
APECに参加する21カ国・地域は、世界の国内総生産(GDP)や貿易の約半分を占める世界経済の原動力だ。地域の枠組みとして、自由で開かれた貿易・投資を実現するという目標を掲げ、経済統合などの議論を進めてきた。だが、米中の二大国間の対立が持ち込まれた結果、議論の成果を示す首脳宣言のとりまとめに失敗した。その存在意義を問う声も上がりそうだ。
米中は対立点を抱えたままトランプ氏と習氏の「直接対決」に向かう。両氏は11月30日~12月1日にアルゼンチンで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議にあわせて会談する予定だ。米中両政府は7月以降、互いに関税をかけ合って貿易戦争に突入した。米中の対立点は経済だけでなく安全保障や人権まで幅広い。ペンス氏は18日、不公正な貿易慣行のほか、南シナ海、人権の問題を並べた上で「米中首脳会談で議題になるだろう」との見通しを示した。

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