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LGBTQ差別のない社会を「実現する」。 G7首脳宣言に「現状との乖離があまりに大きい」の声

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G7の首脳宣言では、「性自認、性表現あるいは性的指向に関係なく、暴力や差別を受けることなく生き生きとした人生を享受することができる社会を実現する」と明記された。

日本が議長国を務めたG7広島サミットが 19〜 、広島県内で開かれた。 の前首相秘書官の差別発言を受け、当事者や経済団体、企業などが、LGBT差別禁止法や結婚の平等などの法整備を求めてきたが、自民党議員の反対意見を受け、理解増進法すら成立されないままでの開催となった。
一方でG7の首脳宣言では、ジェンダーに関する項目で「性自認、性表現あるいは性的指向に関係なく、暴力や差別を受けることなく生き生きとした人生を享受することができる社会を実現する」と明記された。昨年のドイツ・エルマウサミットの宣言よりも、踏み込んだ表現となった。
G7に向けて、LGBTQ当事者の人権保護などを目的に設立した『Pride7』実行委は、「国が普段やっていることと宣言の乖離があまりに大きいです。今後しっかりと法整備をしていかなければ、国際社会から信頼を失うと思います」と指摘する。◆G7首脳宣言で、LGBTQにはどう踏み込んだ?
LGBTQに関する首脳宣言のポイントは以下の通りだ。1.暴力や差別のない社会を「実現」
「あらゆる人々が性自認、性表現あるいは性的指向に関係なく、暴力や差別を受けることなく生き生きとした人生を享受することができる社会を実現する」と明記。差別や暴力について、「完全なコミットメントを再確認する」とした昨年のドイツ・エルマウサミットの宣言よりも、踏み込んだ表現となった。2.トランスジェンダーやノンバイナリーが削除
「差別や暴力のない社会」に関する記述について、昨年はあった「トランスジェンダー及びノンバイナリーの人々の間の平等を実現することに持続的に焦点を当て」という表現が削除された。3.ジェンダー平等に「努める」
ジェンダー平等について「社会のあらゆる層と共に協働していくことに努める」と表現。差別や暴力のない社会については「実現」としたのに対して、弱い表現となった。◆現実との乖離
Pride7の実行委で、結婚の平等を目指す弁護士らでつくる『公益社団法人Marriage For All Japan ―結婚の自由をすべての人に』の共同代表の寺原真希子さんは、「性自認や性的指向による差別のない社会を作るという文言自体は素晴らしいと思います。だからこそ日本の現状との乖離があまりにも大きい」と指摘する。
そもそもPride7を立ち上げたのは、前首相秘書官が性的マイノリティについて「見るのも嫌だ」などと差別発言したことがきっかけだった。以来、国に対してG7広島サミットまでに、以下の3つの法整備を求めてきた。
・LGBT差別禁止法
・結婚の平等(法律上の性別が同じふたりの結婚)
・(「生殖腺を取る手術を受けること」などの要件を定めた)性同一性障害特例法の改正または新設の整備
自民党は重い腰を上げ公明党と 、G7広島サミットにギリギリ間に合わせる形で、「LGBT理解増進法案」を国会に提出。だが「差別は許されない」が「不当な差別はあってはならない」、「性自認」が「性同一性」などと変更され、内容が後退した修正案で、当事者からは「国際社会に向けた『やってる感』を演出するだけでG7広島サミットをやり過ごそうとするのは到底許されません」といった声が上がる。
また現在、30人を超えるLGBTQ当事者らが、結婚の平等を求めて国を訴える「結婚の自由をすべての人に」訴訟が、全国6つの地裁・高裁で進んでいる。国は裁判で、「結婚は子を産み育てるもの」などと主張。すでに判決のでた3つの地裁のうち、2つでは「違憲判決」が出ているのにもかかわらず、法制化に向けた具体的な議論はいまだにされていない。
LGBT法連合会の神谷悠一事務局長は、今回の首脳宣言について「前回から前進も後退もしなかったというのが総論です。差別や暴力のない社会に向けて、具体的にどう実現するか書かれていません」と指摘。その上で、こう話した。
「議長国として首脳宣言を取りまとめたがゆえに、LGBTQ当事者に対して人権を保護していないという現状が海外に知れ渡ったと思います。意識の甘さを自覚して、コミュニケ通りに政策を進めてほしいと思います」◆性自認、性的指向などで、暴力や差別を受けることない社会を
首脳宣言で、LGBTQ当事者に関する主な項目は以下の通り。
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