熊本県の山村で元役場職員が殺害され、ハンセン病とされた男性が死刑判決を受け執行された「菊池事件」。熊本地裁が28日、その再審請求の可否を決定する。死刑執行済み事件で請求が認められれば、日本の裁判史上…
熊本県の山村で元役場職員が殺害され、ハンセン病とされた男性が死刑判決を受け執行された「菊池事件」。熊本地裁が 、その再審請求の可否を決定する。死刑執行済み事件で請求が認められれば、日本の裁判史上初めてとなる。どんな事件だったのか。1.どのような事件だった?
、熊本県の山道で元村役場職員の遺体が見つかり、ハンセン病とされた男性が逮捕された。事件名は発生地が現・菊池市内であることに由来する。
男性は無実を訴えたが、熊本地裁は「男性から犯行を告白された」という親族2人の供述やそれに基づき発見された凶器を証拠に死刑を言い渡した。自身のことをハンセン病と通報されたことを恨んでの犯行とされた。
男性の一審、二審は感染予防を理由に、患者を隔離する療養所内の「特別法廷」で開かれた。
ハンセン病は「らい菌」により末梢(まっしょう)神経や皮膚がおかされる感染症で感染力は弱く、戦後は特効薬も普及。現在は完治するが、当時は国の隔離政策によって患者に激しい偏見・差別の目が向けられていた。
事件を知ったほかのハンセン病患者らは、裁判のあり方や証拠に関して疑問を抱き「偏見・差別による冤罪(えんざい)だ」として二審から男性を支援し最高裁まで争った。だが、死刑が確定。男性が再審請求を繰り返すなか に執行された。2.男性を裁いた「特別法廷」とは?
「特別法廷」は裁判所法の「最高裁が必要と認めるときはほかの場所で開かせることができる」という例外規定に基づいて開かれる。
最高裁が に発表した調査報告書によると、 ~ に計180件の特別法廷の申請があり、113件を認可。理由の最多はハンセン病の96件で、撤回1件を除く95件が認められていた。
最高裁は新しく発見される患者が著しく減っていたことなどを理由に「遅くとも60年以降は差別的な取り扱いがなされたことが強く疑われる」と説明。「偏見と差別を助長することにつながった」と謝罪した。
菊池事件はハンセン病を理由とした「特別法廷」で唯一、死刑判決となった事件だ。この法廷が憲法違反だったか否かが争点となった民事裁判で熊本地裁は 、「法の下の平等」を定めた憲法14条1項などに違反するとの判決を出し、確定している。3.なぜいま再審請求された?
死刑執行から60年余り。再審請求が動き出したのは、国の隔離政策を違憲と断罪した の熊本地裁判決がきっかけだった。判決の確定後、元患者たちから「菊池事件が解決しない限り、ハンセン病問題は解決したとはいえない」といった声が上がり始めたのだ。
ただ、再審を請求できる男性の遺族は打診を受けてもなお続く差別と偏見をおそれ、踏み出せないでいた。
それでも弁護士たちは事件記録の収集や分析を続け、冤罪(えんざい)との思いを強めていく。検察官に対し再審請求を迫る運動などを展開していった。
また、 には市民1205人が「国民的再審請求」という名のもと、熊本地裁に再審請求を実施した。法律で定められた正式な方法ではなかったが、多くの人が再審を望んでいることを示した。
こうした機運の高まりが遺族の背中を押すことになり、 、遺族による再審請求がおこなわれた。弁護士が最初に打診をしてから約20年がたっていた。4.争点は?
争点は二つだ。一つは「特別法廷」は差別、憲法違反で、それだけで再審を認める理由になるか。もう一つは、そもそも男性が無実か否かだ。
法廷が違憲であることを理由に再審を認める規定は法律にないが、弁護側は憲法98条が「国務に関する行為」が違憲なら無効、と定めていることなどから理由になると主張している。
男性の無実については、凶器の短刀や「男性から犯行を告白された」という親族2人の供述に関する鑑定意見書を新証拠として提出している。
凶器については、厚さ0.