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派遣切りの男性「労働者犠牲の巨額報酬」

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日産自動車は22日午後、 取締役会を開き、 金融商品取引法違反の 疑いで逮捕されたカルロス・ ゴーン容疑者(64)を代表取締役会長から解任するとみられる。 「コストカッター」 と呼ばれるほど厳しいリストラ策は多くの 社員の 人生を変えた。 2008年の リーマン・ ショック後、 派遣切りに遭った男性はゴーン会長が手にした
日産自動車は22日午後、取締役会を開き、金融商品取引法違反の疑いで逮捕されたカルロス・ゴーン容疑者(64)を代表取締役会長から解任するとみられる。「コストカッター」と呼ばれるほど厳しいリストラ策は多くの社員の人生を変えた。2008年のリーマン・ショック後、派遣切りに遭った男性はゴーン会長が手にした巨額の報酬を「労働者を犠牲にして得た金だ」と憤る。「自分たちはコストではない」という思いは、今も変わらない。
男性は阿部恭さん(55)。大学でデザインを学び、大手自動車メーカーで正社員として働いた。退職して独立後、03年秋から日産の開発拠点、テクニカルセンター(神奈川県厚木市)で派遣社員として働いた。
任された仕事は車のデザイン。職場の同僚は、正社員、派遣社員の壁がなく、仲間として接してくれた。ゴーン会長の「開発を急げ」「発売を前倒しにする」といった一声で現場が混乱する様子も目にした。「ゴーンには右向け右、の会社なんだな」と感じた。それでも「日産の車を造っている」という誇りはあった。
状況が変わったのはリーマン・ショック翌年の09年2月。社内放送のテレビを通じ、ゴーン会長からリストラ策が発表された。技術職の自分は人員削減に含まれないと思っていたが、違った。派遣元の会社からは「日産の都合だ」としか言われなかった。納得いかず、日産側にも説明を求めたが、対応すらしてもらえなかった。
阿部さんは日産との団体交渉を求めて今も中央労働委員会で争っている。しかし、日産が解決のための話し合いに応じようとする気配はないという。
ゴーン会長が逮捕された19日夜に会見した日産の西川(さいかわ)広人社長が語った「1人に権限が集中しすぎた。ゴーン統治の負の遺産」という言葉に、疑問の思いも浮かんだ。独断を許したのは日産の体質そのものだったのではないか。「悪かったのは逮捕された2人だけではないはずだ。これを機に上層部が代わって日産にはまともになってほしい」と話した。【神足俊輔】

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