Home Japan Japan — in Japanese 北の脅威への覚醒もつかの間 竹島、慰安婦に燃えている韓国は妙な方向に向かっている (産経新聞)

北の脅威への覚醒もつかの間 竹島、慰安婦に燃えている韓国は妙な方向に向かっている (産経新聞)

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新型弾道ミサイルの 発射や、 金正恩(キム・ ジョンウン)朝鮮労働党委員長(33)の 異 – Yahoo!ニュース(産経新聞)
産経新聞 2/26(日) 9:35配信
新型弾道ミサイルの発射や、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長(33)の異母兄、金正男(ジョンナム)氏の暗殺など、北朝鮮がらみの問題が続発している。韓国社会は北朝鮮という差し迫った現実問題に目を覚ましたかに見えたが、朴槿恵(パク・クネ)大統領(65)の職務が停止し、弾劾審判が迫るなか、奇妙なことに北朝鮮どころではないようだ。国内のゴタゴタの一方で、竹島の領有権問題などをめぐってまた日本を非難。“北の脅威”はつかの間の騒動であるかのように、忘れ去られようとしている。(ソウル 名村隆寛)
昨年10月の中距離弾道ミサイル「ムスダン」とみられるミサイルの発射(この時は失敗)以来、約4カ月ぶりの弾道ミサイル発射に韓国の政府やメディアは衝撃を受けた。北朝鮮が12日に打ち上げたのは、潜水艦発射弾道ミサイル(SLMB)を陸上発射型に応用したものだった。
ミサイルはいったん空中に浮上した後に発射し、今回は成功したとみられている。韓国が驚きを隠せないのは、発射成功に加え、燃料の固体化と無限軌道型の移動式の発射台から打ち上げられたことだ。発射の機動性が増し奇襲発射が可能になることで、衛星での早期探知も容易ではなくなる。
「ミサイルは発射角度が垂直に近い89度で、通常角度での発射であれば射程は2000キロ以上になる」(韓国の情報機関、国家情報院)と分析されている。当然、韓国全土はもちろん、日本も射程に収める。韓国と在韓米軍が現在保有する兵器での迎撃は不可能だ。韓国政府は今夏に予定する米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備を待つしかない。
朴大統領の職務停止で、3カ月間半余り国政が停滞を続けた韓国をあざ笑うかのように、北朝鮮は4カ月の沈黙を破り「新型弾道ミサイル」の発射を成功させた。
韓国が久々に「北」で驚いたのは前述の通りだが、特に韓国メディアは、北朝鮮のミサイル発射を受けた日米首脳の素早い対応にむしろ驚いていた。
■トランプ氏が「韓国」に触れず落胆
安倍晋三首相(62)とドナルド・トランプ米大統領(70)は滞在先の米フロリダ州で、北朝鮮のミサイル発射について共同記者会見した。トランプ大統領は「米国は偉大な同盟国である日本を100%支持する」と述べた。安倍首相も帰国後の13日、「(トランプ政権の対北朝鮮)姿勢はより厳しくなる」と語り、日米で緊密に連携する方針を表明した。
以上、北朝鮮の軍事挑発に対する日米首脳の“緊密な連携”という望ましい話であるが、韓国は両首脳、特にトランプ大統領が「韓国」に触れていないことに落胆しているようだった。
トランプ政権発足直後に訪米した安倍首相を、韓国メディアは「屈従外交」やら「ゴマすり」などと揶揄(やゆ)していた。その背景には、大統領が職務停止状態の韓国が対米外交で後れをとっているといった焦りや羨望(せんぼう)が露骨に出ていた。安倍首相嫌いの韓国メディアらしい表現を使えば「日本の安倍に先を越された」という言い方がピッタリだ。
その安倍首相がトランプ大統領の別荘に招待された上に、一緒にゴルフまで楽しんだ。しかも、1ラウンド18ホールだけでなく、さらにハーフの9ホールのおまけ付きだ。これに北朝鮮のミサイル発射に共同対処するとの趣旨の生中継での共同記者会見がついたわけだ。
北の脅威に加え、トランプ政権下での良好な日米関係という現実を目にし、何も言えない韓国の姿が印象的だった。
■金正男暗殺は対岸の火事?
身動きがとれないにも等しい韓国外交の現状を嫌でも認めざるを得ず、安倍首相に対する“やっかみ的”な感情がうかがえる報道の一方で、韓国紙の中には安倍首相の訪米を「実利外交」として評価する論調もあった。
自国の対北対応への焦燥感も出ている。朝鮮日報は社説で、日米首脳が夕食会などの最中にミサイル発射の報告を受け、緊急の共同記者会見を開いたことに触れ、「両首脳の機敏な対応を見て、自分のことが人ごとのようになっている状況を心配せざるを得ない」と韓国の現状を憂えた。
そんな中、韓国だけでなく世界を驚かせる事件が起きた。しかも、また北朝鮮がらみ。金正男氏(当時45)のマレーシアでの暗殺事件だ。現地警察により、在マレーシア北朝鮮大使館職員の関与が判明しており、国家ぐるみのテロである疑いが極めて強い。
正男氏暗殺の一報を受け、即座に思い出したのが、ちょうど20年前の1997年2月に韓国で起きた李韓永氏(イ・ハニョン=82年、韓国に亡命)の射殺事件だ。李氏は金正日総書記の先妻の成恵琳(ソン・ヘリム)氏の実姉、成恵琅(ヘラン)氏の息子で、金正男氏のいとこに当たる。
李氏は日韓などで、幼少時の正男氏の話を含む“金正日(ジョンイル)ロイヤルファミリー”の実態を暴露した本を出版するなどし、金正日氏の指示を受けた北朝鮮工作員により射殺された。
事件は夜中に起きた。当時ソウルに勤務していたため、新聞の最終版に急いで原稿を送った記憶がある。同時に韓国国内で北朝鮮工作員が暗躍している現実に薄ら寒いものを感じた。
今回の金正男暗殺を受け、韓国では李韓永射殺事件を回想する報道もあり、韓国当局は元北朝鮮外交官などの脱北者の身辺警護に当たっている。
■デモと抗議集会は相変わらず
しかし、一般国民レベルでの反応はまるで“対岸の火事”のようで鈍い。金正男暗殺に関する報道も、韓国より日本のメディアの方が力を入れているようだ。事実、韓国紙の東京特派員がそのように伝えていた。
こうしたなか韓国では、逆に北朝鮮との対話や経済協力をこの期に及んで主張する意見さえ“健在”している。
韓国政府は昨年2月、北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射に抗議する形で南北経済協力事業の北朝鮮の開城工業団地の稼働を中断、開城工団で事業を展開する韓国企業を撤収させた。それからまる1年。今月、一部のメディアで開城工団再開論が出た。
また、第1野党「共に民主党」と、年内に行われる大統領選挙の有力候補で現在支持率トップの同党の文在寅(ムン・ジェイン)前代表は、開城工団と北朝鮮での金剛山観光の再開を訴えている。文氏は当選のあかつきには米韓首脳会談よりも先に訪朝し、南北首脳会談を行うべきとの考えも示す親北派であり、かつ反日的な姿勢で知られる。
北朝鮮の弾道ミサイル発射と金正男暗殺の後も、文氏が対北姿勢を変えたという話はない。にもかかわらず、支持率は相変わらず30%以上でトップだ。朴槿恵政権への不満もあろうが、文氏に続く支持率2位も同じ「共に民主党」に所属する安煕正(アン・ヒジョン)忠清南道知事。現状では、韓国の次期大統領は北朝鮮に甘い「共に民主党」の候補が当選する可能性が高い。
■北どころではない
軍事境界線を隔てて北朝鮮と対峙(たいじ)している韓国は、北の脅威に最も敏感であるべきなのだが、国内は北どころではない状況が続いている。
朴大統領の親友で女性実業家の崔順実(チェ・スンシル)被告による国政介入事件で、朴政権は相変わらず風前のともしび。事件にからみ、韓国最大の財閥、サムスングループの経営トップ、李在鎔サムスン電子副会長(イ・ジェヨン、48)までが逮捕された。
サムスングループは韓国の国内総生産(GDP)と輸出の約20%を占める。「サムスンが牽引(けんいん)している」と言ってもいい韓国経済にも悪影響を及ぼすことが不可避な情勢で、ただでさえ低迷を続ける経済の一層の悪化を懸念する声が財界を中心に強まっている。
昨年のスマートフォンの発火事故で、ブランドに傷がついたサムスンは経営トップの逮捕により、韓国同様、国際的なイメージの一層の低下が始まっている。まさに「起業79年で最大の危機」(韓国メディア)に直面しており、韓国経済はさらに危機に追い込まれているのだ。
韓国では1997年末の通貨危機(IMF危機)のような経済危機の再来が懸念されており、李在鎔氏の逮捕によって危機感が現実味を帯び始めている。
■北より竹島、慰安婦に燃える
北朝鮮の脅威と不透明な金正恩政権、経済危機の可能性といった不安要素の一方で、市民団体のデモや抗議集会は相変わらずだ。土曜日恒例の朴大統領の退陣を要求する大規模集会は毎週続いており、これに対抗する保守派や高齢者の集会も盛んである。
さらには、今月22日に島根県松江市で開かれた「竹島の日」の記念式典を抗議する集会や、同じ日にソウルの日本大使館前で行われた慰安婦問題での抗議集会は、氷雨が降るにもかかわらず強行された。
当地ではすっかり“年中行事”のようなものになってしまったのだが、挑発を続ける北朝鮮や先行き不透明な経済よりも、韓国は竹島や慰安婦の問題に熱心であるかのようだ。日本との「歴史」をからめた問題に、相変わらず韓国は条件反射的に燃える。
その半面、釜山(プサン)の日本総領事館前に違法に設置された慰安婦像の問題で駐韓日本大使が帰国して1カ月半が過ぎたなかで、日韓関係悪化への懸念と関係改善への期待もある。
韓国外務省は今月中旬、釜山市や設置場所の道路を管理する同市東区などに、像の移転を求める意向の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相名義の文書を送った。その直後の17日にドイツのボンで行われた日韓外相会談で、慰安婦像の撤去を求めた岸田文雄外相に対し、尹外相は「可能な限り、最大限の努力を引き続き行っていく」と約束した。
外交の現場は、日本の大使館や総領事館の前に抗議の意味で慰安婦像を設置したことが、外国公館の威厳の侵害を禁じたウィーン条約に抵触していることを十分に理解しているのだ。
しかし、韓国の世論はそれを許さない。世論調査会社の韓国ギャラップの調査によれば、韓国の成人の70%が慰安婦問題をめぐる2015年末の日韓合意の「再交渉が必要」と回答している。再交渉を主張する意見は、合意直後の昨年1月には58%、同年9月は63%で、増え続けている。
■効率悪く、時間だけがダラダラと
北朝鮮問題、国政の停滞、経済と国民生活の不安、日本や中国との関係悪化など、現在の韓国には明るい話や展望はうかがえない。不安要素が重なり続ける中で、毎日どこかで、何やらの不満をぶつける集会が開かれている。
毎週、デモ、デモで、打開策もなく、ただ効率の悪いことが繰り返されているようだ。その一方で時間だけがダラダラと過ぎている。慰安婦像の撤去反対などで意地を張っている場合じゃないのに、韓国政府の日本との関係改善に向けた動きも、自治体への要請文送付でようやく緒についたばかり。先行きは不透明だ。
やはりこのまま、時間だけが過ぎていき、大統領選挙を経て、何の成果もなく次期政権の発足を迎えるのか。その時の韓国で何が変わっており、何が改善されていることだろうか。
嫌な予想はまた当たってしまうかもしれない。ただ、韓国で暮らす日本人としては、危機感が変な方向に向かっている隣国から、日本がとんだとばっちりを受けないことを願うばかりだ。
最終更新:2/26(日) 9:35

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