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遺産相続、何がどう変わる? 制度見直しの狙いとは

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故人の 配偶者が安心して余生を過ごせることに配慮した相続制度の 見直し案が16日、 法制審議会(法相の 諮問機関)の 相続部会でまとまった。 約40年ぶりとなる制度見直しの 狙いは、 高齢化社会の 家族の ありようへの …
故人の配偶者が安心して余生を過ごせることに配慮した相続制度の見直し案が16日、法制審議会(法相の諮問機関)の相続部会でまとまった。約40年ぶりとなる制度見直しの狙いは、高齢化社会の家族のありようへの対応だ。遺産相続の何が、どう変わるのか。
自宅を所有していた夫に先立たれた高齢の妻が、自宅(評価額2千万円)と預金3千万円の計5千万円の遺産を子1人と分け合うことになった。妻はこれからも自宅に住み続けたいと考えている――。
このようなケースで夫の遺言がなく、法律で定められた割合で子と遺産を分ければ、妻の取り分は2分の1の2500万円。家に住み続けるために相続で自宅を取得すると、預金は500万円しか得られず、その後の生活費に不安が残る。
そこで新たに設けられたのが、自宅が所有権よりも低い額で評価される「配偶者居住権」だ。このケースで配偶者居住権の評価額を1500万円とすれば、妻の預金の取り分は1千万円に増える。その後の生活費の不安が軽減される、というわけだ。
ただ、相続制度に詳しい中込一洋弁護士は「配偶者居住権を利用することが向いている場合とそうでない場合がある。あくまで選択肢の一つと考えるべきだ」と指摘する。
たとえば残された配偶者の年齢が若ければ、一生住み続けるための配偶者居住権の評価額は所有権と変わらないほど高額になることが見込まれる。配偶者居住権を取得直後にけがなどで1人での生活が難しくなり、施設に入所した場合でも、権利を譲渡できない。
配偶者居住権は、配偶者の死後に権利が消滅して相続財産にならない特殊な権利で、専門家からは「評価額の算出方法が不明確」との指摘も多い。中込弁護士は「新しい制度が始まるまでに、実務家や研究者で合理的な評価方法を確立する必要がある」と話す。
結婚20年以上の夫婦で、夫が預金3千万円を残して亡くなった。妻は夫から自宅(2千万円)を生前贈与されていた。遺言はなく、妻は子2人と法律で定められた割合で遺産を分け合うことになった――。
現行法では遺産分割の際、生前…

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