【ワシントン時事】トランプ米新大統領の就任式が行われた首都ワシントンで20日、早朝から抗議を続けたデモ隊の一部が暴徒化した。就任パレードのルートから遠くない市内中心部で、窓ガラスを割ったり、警官ともみ合いになったりして200人以上が逮捕されるなど厳戒態勢の首都に緊張が走った。 「バーン、バーン」。パレードが行われたペンシルベニア通りから数ブロック離れた市内中心部で催涙弾の発射音が響いた。警官隊が「人間の壁」をつくって通りを封鎖し、暴徒化したデモ隊を阻止。双方のにらみ合いが続いた。「警察は、くそくらえ」とシュプレヒコールを上げるなど抗議デモの矛先は警察に向かった。 カフェや銀行などの窓ガラスが割られ、歩道には粉々に砕けたガラスが散らばったままになっていた。ワシントンでは数日前から抗議デモが始まっており「反トランプ感情」の根強さが表れている。 デモに参加したニューハンプシャー州の自動車教習所指導員マシュー・ミッチェルさん(32)は「怒りではなく、対話が必要だ」と強調。「われわれには指導者が必要だ。トランプ氏の任期を4年で終わらせるためにできることは何でもやりたい」と話した。 就任式でも、正午前に行われたトランプ氏の就任宣誓の際に、笛のようなものを鳴らし、プラカードを掲げて抗議する人が現れたが、すぐに取り押さえられた。 議会からホワイトハウスに向かう恒例のパレードでは、トランプ氏は所有するホテルに近づいた所で車を降りた。約2分間、メラニア夫人、三男バロンくんと親子3人で車道を歩き、手を振ったり、拍手したりしながら観衆に応えた。 沿道ではトランプ氏の写真が入った旗が掲げられたり、歓声が上がったりしたものの、特設された観客席は空席が目立った。 (2017/01/21-09:45)