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第三者卵子で出産:進む現実、法整備遅れ 子の立場不安定

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病気の ため自分の 卵子で妊娠できない女性が、 国内では初めて匿名の 第三者から卵子提供を受けて女児を出産したと、 仲介した神戸市の NPO法人が22日、 発表した。 国内での 卵子提供は一部医療機関で姉妹や友人間に限って実施されており、 不妊治療の 幅が広がる期待がある。 一方、 親子関係や子が出自を知る権利などが不明確なまま現実が先行する事態に、 専門家らは「子の 幸福の 観点から法整備が急務」 と訴える。 【千葉紀和】
病気のため自分の卵子で妊娠できない女性が、国内では初めて匿名の第三者から卵子提供を受けて女児を出産したと、仲介した神戸市のNPO法人が22日、発表した。国内での卵子提供は一部医療機関で姉妹や友人間に限って実施されており、不妊治療の幅が広がる期待がある。一方、親子関係や子が出自を知る権利などが不明確なまま現実が先行する事態に、専門家らは「子の幸福の観点から法整備が急務」と訴える。【千葉紀和】
記者会見した「卵子提供登録支援団体(OD-NET)」によると、出産したのは、若いうちに月経がなくなる早期閉経の40代女性。無償を条件に提供に応じた30代女性の卵子と、夫の精子を体外受精して作った受精卵を子宮に戻し、今年1月に出産した。女児は健康で、患者の費用は約100万円という。
同団体の岸本佐智子理事長は「匿名で無償のボランティアによる卵子提供がわが国でも可能ということを証明した」と強調。出産した女性の「妊娠、出産、育児をとおして『生きる希望』ができた。ドナー(提供者)に深く感謝します」とのコメントを読み上げた。
また、先天的に妊娠できないターナー症候群の女性2人が妊娠中で、別の3人も治療に向け準備しており、さらに出産例が増える見通しを明らかにした。
第三者からの卵子提供は、世界的には普及している。生殖医療に詳しい石原理・埼玉医科大教授によると、調査した約100カ国のうち8割が条件付きで認めているという。
国内でも、加齢による不妊の女性からの期待が大きい。厚生労働省研究班の意識調査では、第三者の卵子を使った体外受精を「利用したい」「配偶者が賛成したら利用したい」と答えた人は26・8%に上る。厚労省の部会は2003年、条件付きで卵子提供を認める報告書をまとめ、法整備も求めたが、いまだに実現していない。
現在の民法では、母親は産んだ女性か卵子提供者かの明確な規定がないが、最高裁の判例では産んだ女性を母と認めている。自民党の部会は昨年3月、「産んだ女性を母」とする民法特例法案を了承したが、その後、国会への提出の動きはない。
特に賛否が分かれるのが、子が出自を知る権利だ。同団体は15歳になった時点で子が希望すれば卵子提供者の氏名などを開示することで、提供者と合意しているという。だが、どのように伝えるのか、個人情報の長期管理は万全なのかなど課題は残されたままだ。
石原教授は「現状のまま提供が広がれば子が出自を知ろうとした時に問題が起きる。権利を守るため、あいまいなままの子の立場を法律で早急に明確にすべきだ」と指摘する。

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