<2017 第89回センバツ高校野球> 第4日(23日・ 阪神甲子園球場) ○…1回戦…○ ▽午前9時3分開始(観衆7000人) 福井工大福井(福井) 000200022=6
<2017 第89回センバツ高校野球>
○…1回戦…○
▽午前9時3分開始(観衆7000人)
福井工大福井(福井)
000200022=6
200002000=4
仙台育英(宮城)
福井工大福井は2点を追う八回、島谷の左前2点適時打で追いつき、九回は暴投で勝ち越し、吉田の左前適時打で加点した。打線を勢いづかせた四回の山岸の2ランも大きかった。仙台育英は1番・西巻の出塁を機に攻め、2度先行したが、左腕・長谷川の制球が徐々に乱れ、八回は2連続四死球が失点につながった。
■白球を追って
リードを許す展開が続いても、福井工大福井の島谷には「いける」という感触があった。「打撃のチームは打って返すしかない」。信念に揺るぎはない。2点を追う八回2死満塁。その島谷が仙台育英の左腕、長谷川のウイニングショット、スプリットを左前へはじき返し、試合を振り出しに戻した。
縦のスライダーやスプリットが持ち味の長谷川に対し、徹底して真っすぐを狙った。
2点をリードされた四回に飛び出した主砲・山岸の一発もそう。「変化球だったら三振してもいいからストレートを狙え」。大須賀監督の指示通り、2球目の133キロの速球を左翼席へ放り込んだ。中盤以降、長谷川は変化球を増やしたが、変化球を振っての三振はやはりOK。その割り切りが、八回、2-2と追い込まれた島谷をより集中させた。
昨秋のチーム打率は3割4分2厘で1試合の平均得点は8点と、典型的な打高投低のチーム。冬場、山岸などはティー打撃は1300グラム、フリーは1000グラムのバットを使い、打撃をさらに磨いた。本塁打も「中前打を打つイメージ」の打球がスタンドに届いてしまった。
開幕試合で10安打を放ちながら智弁学園に完封負けを喫した昨春から1年。自慢の強力打線が大会ナンバーワン左腕から10安打をマークし、春41年ぶりの校歌を甲子園に響かせた。【村田隆和】
○…福井工大福井の一塁手・井上開が流れを呼び込む好守を見せた。追いついた直後の八回2死二塁の守り。本来守備は苦手だが、この時は無我夢中だった。「甲子園練習の時から風で打球が戻ってくることは知っていた」。大きく打ち上げられたファウルを追いかけ、カメラマン席に頭から落ちながらも必死のキャッチ。2度の適時打を放っている仙台育英の5番・杉山を打ち取り、相手に傾きかけた流れを断って九回の勝ち越しにつなげた。仲間の祝福を受けて「守備でほめられたのは初めて」と喜んだ。
■春きらめく
一瞬の迷いも無く、一塁ベースを蹴った。先頭打者として迎えた同点の六回。当たり損ねのボテボテの打球を遊撃手が後逸(記録は失策)したのを見て果敢に二塁を陥れ、2点を奪う攻撃の口火を切った。好走塁にも「次の、次の塁を狙う意識でやってきた」と事も無げに振り返る。
誰よりも勝つことの難しさを知っている。東海大相模に敗れた2年前の夏の甲子園決勝に、1年生として唯一出場した。
新チームで主将に就任すると、練習中から積極的に声を掛け、一つのプレーにも気を抜かない厳しいチームを目指してきた。全ては2年前の悔しさを晴らすためだ。
その決勝以来の甲子園。終盤のミスが響いて逆転負けを喫した。「球場の雰囲気にのまれたところもあった。甲子園は特別な場所。やっぱり勝つのは難しい」と改めて思い知らされた。ベンチへ引き揚げるナインに言った。「下を向くな。ここで落ち込んでいる場合じゃない」。悔しさを味わうのはもうごめんだ。【生野貴紀】
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