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米艦防護、初実施へ 海自艦、1日出港

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北朝鮮情勢にらみ、 日米連携アピールが狙いか 安全保障関連法に基づき、 平時から自衛隊が米軍の 艦船などを守る「武器等防護(米艦防護)」 について、 稲田朋美防衛相が初めて自衛隊に実施を命令したことが政府関係者への 取材で分かった。 米軍の 要請に基づき、 1日から海上自衛隊の 護衛艦が太平洋沖で米海軍の 補給艦を防護するという。 北朝鮮情勢をにらみ、 日米の 連携をアピールするの が狙いとみられる。
安全保障関連法に基づき、平時から自衛隊が米軍の艦船などを守る「武器等防護(米艦防護)」について、稲田朋美防衛相が初めて自衛隊に実施を命令したことが政府関係者への取材で分かった。米軍の要請に基づき、1日から海上自衛隊の護衛艦が太平洋沖で米海軍の補給艦を防護するという。北朝鮮情勢をにらみ、日米の連携をアピールするのが狙いとみられる。
安保関連法に基づく新任務としては、昨年12月から南スーダン国連平和維持活動(PKO)への派遣部隊に、「駆け付け警護」などが付与された。米艦防護も実施されることにより、安保関連法に基づく自衛隊の活動がさらに進むことになる。
政府関係者によると、海自の最大の護衛艦「いずも」が1日に横須賀基地(神奈川県横須賀市)を出港。房総半島の沖合で米海軍の輸送艦と合流し、四国沖まで移動する間、一緒に航行して防護に当たる。いずもはその後、シンガポールの国際観艦式(15日)に向かう予定で、輸送艦は日本海に展開中の原子力空母「カール・ビンソン」を中心とした空母打撃群の補給に向かう可能性がある。
自衛隊による米艦などの防護は、安保関連法で自衛隊法が改正されて可能になった。「我が国の防衛に資する活動」をしている米軍などの要請を受け、防衛相が必要と認めれば命令できる。
政府は、外国軍の武力行使との一体化を避けるため、「現に戦闘行為が行われている現場」では防護を実施しないとしている。しかし集団的自衛権の行使の3要件とは関係なく、平時や、有事に至るまでの「グレーゾーン事態」でも実施できるため、野党からは「集団的自衛権の抜け道」という批判も出ている。【前谷宏】
自衛隊法95条2に規定される。米軍などの部隊が「自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動」をしている際、その艦船などを自衛隊が防護でき、最小限の武器使用も認められる。弾道ミサイルなどの警戒監視▽放置すれば日本が攻撃される恐れがある「重要影響事態」での補給・輸送活動▽日米共同訓練--などに当たる米艦などの防護が想定される。
米軍部隊を守る武器等防護は昨年12月に政府が運用指針を決め、防衛省は今年1月に米艦防護を想定した指揮所演習を実施した。政府関係者によると、当初は秋ごろまでに行われる日米の共同訓練の中で米艦の防護を実際に行い、任務としても始める予定だった。しかし、4月に入って北朝鮮情勢が緊迫化し、前倒しで初実施することが決まったという。
自衛隊が米艦を防護するには、米軍からの要請が必要となる。日本側も運用指針に沿い、最初に防護を行う際は、政府の国家安全保障会議(NSC)での審議を経る必要がある。北朝鮮情勢を念頭に、自衛隊と米軍の一体化をさらに進めようとする日米両政府の意向が一致した模様だ。
ただ今回、自衛隊が防護するのは北朝鮮に近い日本海側ではなく、太平洋側を航行する補給艦で、どこまで必要性があるのかは疑問が残る。
運用指針では武器等防護の実施について、「特異な事象が発生した場合」以外は公表されないことになっている。一方、集団的自衛権の行使を認める安全保障関連法は、成立までの国会審議の過程で国論を二分する事態となった。北朝鮮情勢を背景に、米艦防護の運用がなし崩し的に本格化する恐れはないか、懸念の声が上がる可能性がある。【前谷宏】

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