国連教育科学文化機関(ユネスコ)の 世界文化遺産に、 福岡県の 「『神宿る島』宗像・ 沖ノ島と関連遺産群」 の 一部を登録するようユネスコの 諮問機関「国際記念物遺跡会議」 (イコモス、 本部・ パリ)が勧告したの を受け、 文化庁は6日記者会見し、 政府が推薦した遺産群の 資産8件の うち4件は「世界的な価値が認められない」 と評価されたことを明らかにした。 福岡県は除外された4件も含めた登録を目指す方針を示しており、 文化庁は協議して今後の 対応を検討する。
国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に、福岡県の「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」の一部を登録するようユネスコの諮問機関「国際記念物遺跡会議」(イコモス、本部・パリ)が勧告したのを受け、文化庁は6日記者会見し、政府が推薦した遺産群の資産8件のうち4件は「世界的な価値が認められない」と評価されたことを明らかにした。福岡県は除外された4件も含めた登録を目指す方針を示しており、文化庁は協議して今後の対応を検討する。
登録が勧告されたのは、宗像市の沖約60キロの玄界灘に浮かぶ沖ノ島と、岩礁の「小屋島」「御門柱(みかどばしら)」「天狗(てんぐ)岩」の4件。勧告は沖ノ島を「古代祭祀(さいし)の記録を保存する類いまれな収蔵庫」と表現し、考古学的な物証があるとして普遍的価値を認めた。一方、沖ノ島を遠くから拝むための宗像大社の「沖津宮遥拝(ようはい)所」や「中津宮」「辺津(へつ)宮」と、祭祀を担った豪族の墓とされる同県福津市の「新原(しんばる)・奴山(ぬやま)古墳群」の4件は「価値が(日本の)国家的なもので、世界的な価値とは認められない」として除外し、登録名を「『神宿る島』沖ノ島」と変更することも勧告した。
富士山が2013年に世界文化遺産に登録された際にも、イコモスが構成資産の三保松原の除外を勧告し、日本政府が再度説明して、三保松原も含めて登録された経緯がある。松野博一文部科学相は「我が国として完全に納得できる内容とはなっていない。今後の対応方針を速やかに関係機関と相談し、最善を尽くしたい」との談話を出した。
世界遺産への登録は7月2~12日にポーランドで開かれるユネスコ世界遺産委員会で正式決定される。登録されれば、日本の世界遺産は自然遺産(4件)も含め21件目となる。
沖ノ島は4~9世紀に航海の安全と大陸との交流の成功を祈願する祭祀が営まれ、その跡がほぼ手つかずの状態で残る。戦後の学術調査で出土した銅鏡や武器、装身具などの奉献品約8万点は全て国宝に指定され、宝物の多さから「海の正倉院」とも呼ばれる。島全体が宗像大社の「沖津宮」の境内となっているが、島そのものが神体とされ、立ち入りは原則禁止されている。【伊澤拓也】