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AI深層学習、異次元の進化 囲碁最強棋士「弱み見つからず」

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中国浙江省烏鎮で23日始まった米グーグルの 人工知能(AI)「アルファ碁」 と世界トップ棋士の “頂上決戦”。 3番勝負の 第1局は、 アルファ碁が柯潔(カ・ ケツ)九段に難
【烏鎮(浙江省)=山川公生、小川義也】中国浙江省烏鎮で23日始まった米グーグルの人工知能(AI)「アルファ碁」と世界トップ棋士の“頂上決戦”。3番勝負の第1局は、アルファ碁が柯潔(カ・ケツ)九段に難なく勝利し、驚異的な速さで進化し続けるAIの異次元の強さを見せつけた。 囲碁ソフト「アルファ碁」との初戦に臨む中国人棋士、柯潔九段(左)=23日、中国浙江省烏鎮(共同) 「アルファ碁の弱みを見つけられなかった。 AIの進歩はものすごい。今後ますます完璧になっていくだろう。人間との差を一個人で補うことはできないようになる」。対局後の記者会見で柯九段は苦笑いを浮かべながらこう語った。 囲碁は局面の数が「10の360乗」に達し、難易度がチェス、将棋をはるかに上回ることから、人間に勝つのは「あと10年はかかる」とされていた。だが、グーグルが2015年に開発したアルファ碁は昨年3月、下馬評を覆し、韓国の強豪、李世●(石の下に乙、イ・セドル)九段に圧勝。ほぼ1年ぶりに大勝負の舞台に戻ってきたアルファ碁は、その強さに一段と磨きをかけていた。 開発したグーグル傘下の英ディープマインドは李九段に勝利した直後から、状況分析や打ち手を決めるソフトの改良に着手。グーグルが自ら設計した最新のAI用半導体「クラウドTPU」を採用し、計算能力などハード面の性能も大幅に強化した。李九段との戦いに比べても「読みがさらに深くなり、大局観に磨きがかかった」。囲碁AIに詳しい王銘琬九段は舌を巻く。 アルファ碁の圧倒的な強さの秘密は、人間の脳をまねた「ディープラーニング(深層学習)」と呼ばれる情報処理手法にある。無数の対局の棋譜をもとに打つ手の善しあしを自ら学習し、さらに膨大な数の自己対局を重ね、勝ち負けの経験から判断力を磨いていく。 この深層学習は、自動運転車の開発に欠かせない画像認識技術や、会話型AIの普及を可能にした音声認識技術の精度向上などにも大いに貢献している。 ディープマインドのデミス・ハサビス最高経営責任者(CEO)は対局前のあいさつで、「アルファ碁を動かしているAI技術は汎用性が高い」と述べ、難病の治療法の発見やエネルギー問題の解決、環境保全などへの応用に意欲を示した。 世界最強棋士でもAIに歯が立たなかったことについて、囲碁界には落胆ムードが漂う。だが、ハサビス氏は「どちらが勝っても、人間の勝利であることは間違いない」と強調する。 AIを開発したのも、人間であるからだ。 柯九段は「今日の試合には少し不満がある。どんなに努力しても(勝ちに)届かないこともあるが、残りの試合にも全力を尽くす」と挽回を誓った。

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