【ワシントン会川晴之】 米ホワイトハウスは5日、 トランプ大統領がイスラエルの 首都をエルサレムと承認し、 テルアビブにある米大使館をエルサレムに移転すると決めたことを明らかにした。 東エルサレムを首都とする国家樹立を目指すパレスチナ自治政府やアラブ諸国は強く反発している。 トランプ政権は中東和平交渉に意欲を示すが、 早期再開は極めて困難になった。 トランプ氏が6日午後(日本時間7日未明)の 演説で正式発表する。
【ワシントン会川晴之】米ホワイトハウスは5日、トランプ大統領がイスラエルの首都をエルサレムと承認し、テルアビブにある米大使館をエルサレムに移転すると決めたことを明らかにした。東エルサレムを首都とする国家樹立を目指すパレスチナ自治政府やアラブ諸国は強く反発している。トランプ政権は中東和平交渉に意欲を示すが、早期再開は極めて困難になった。トランプ氏が6日午後(日本時間7日未明)の演説で正式発表する。
ホワイトハウス高官は5日の記者会見で、エルサレムの帰属問題は従来通り、「交渉で解決を図る考えに変わりがない」と強調。だが、エルサレムを首都と承認するのは歴代米政権では初めてで、大きな方針転換といえる。高官は、エルサレムが実質的な首都として機能してきた「歴史的事実」や、首相府や議会などが置かれている「現実」を追認すると説明した。
また高官によると、トランプ氏は大使館移転について国務省に立地調査を始めるよう指示した。移転の時期については明らかにしていない。こうした決定に先立ち、トランプ氏はイスラエルのネタニヤフ首相、パレスチナ自治区のアッバス議長に相次いで電話協議し、方針を伝えた。
イスラエルは1948年の建国直後の第1次中東戦争で西エルサレムを獲得。67年の第3次中東戦争で、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の聖地がある東エルサレムも占領しており、「不可分の永遠の首都」として実効支配している。
トランプ氏はエルサレムへの大使館移転を大統領選で公約していた。米議会は95年にエルサレムへの大使館移転を促す法案を可決。以後、歴代米大統領は半年ごとに、法執行停止か大使館移転の選択をする必要がある。トランプ氏は今年6月、執行停止を議会に通知。移転時期が決まっていないため、今回も手続き的には同様の措置を取ることになる。
パレスチナ自治政府のアッバス議長は「和平協議だけでなく、地域の安全と安定を危険にさらす」とトランプ氏の方針を非難。パレスチナ各派は6日から3日間、パレスチナ全域で「怒りの日」としてデモを呼びかけており、エルサレムの米総領事館は、政府職員と家族にエルサレム旧市街やヨルダン川西岸を業務外で訪問しないよう求めた。
エルサレムにはユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地があり、帰属性が争われている。1948年にユダヤ人国家のイスラエルが建国を宣言し、67年の第3次中東戦争の結果、エルサレム全域を実効支配し首都と定めた。これに対しアラブ側は全占領地からのイスラエル軍の撤退を求め、東エルサレムを首都とするパレスチナ国家の樹立を要求し「将来の建国時の首都」と訴えている。これまで米国や日本など各国は、商業都市テルアビブに大使館を置くことで配慮してきた。