Start Japan Japan — in Japanese コラム:コーン氏辞任、政治の混乱が市場巻き込むか

コラム:コーン氏辞任、政治の混乱が市場巻き込むか

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Christopher Beddor[ワシントン 6日 ロイター BREAKINGVIEWS] – 米国家経済会議(NEC)の コーン議長辞任は、 ホワイトハウスの 混乱を市場の 問題へと変質させる。 トランプ政権内で反自由貿易を唱える声に対する防波堤の 役割を担ってきたコーン氏は、 トランプ大統領が保護主義的な言動をエスカレートさせる中で、 政府を去ろうとしている。 市場はこれまで不安定な政治情勢にも冷静な態度を維持してきたとはいえ、 もはやそれが当たり前とは言えなくなった。 コーン氏辞任発表の 1週間前にトランプ氏が表明していたの が、 鉄鋼とアルミニウムに高い関税を課して輸入を制限するという方針だった。 計画の 詳細はなお不明だが、 方向性ははっきりしている。 ロス商務長官やナバロ通商製造政策局長らが推進したと伝えられている高関税導入案は、 トランプ氏をより穏健なコースに誘導することを望んでいた政権内の グループに打撃を与えた。 そしてコーン氏の 辞任で、 ホワイトハウスの 「ゼロサム的」 な通商政策が加速する恐れが出てきた。 ホワイトハウスの 機能不全や相次ぐ高官の 入れ替わりは、 トランプ氏が大統領に就任して以来日常化し、 市場もほとんど重視してこなかった。 だが今回は事情が違うかもしれない。 コーン氏辞任発表直後、 メキシコペソや株式の 先物は急落した。 投資家が心配するの は無理もない。 希望に沿った形に関税を設定できるという面でホワイトハウスが持つ裁量権は比較的大きいし、 トランプ氏は近く通商問題でいくつか重要な決定を下す。 北米自由貿易協定(NAFTA)の 再交渉は期限が迫っている上に、 米韓自由貿易協定を巡る交渉はなお続いている。 米政府としてはトランプ氏が打ち出した鉄鋼・ アルミ輸入制限を正式に採用するかどうかとその 場合どの ように実施するか、 あるいは中国の 知的財産権侵害を巡る調査をどう取り扱うかについて、 間もなく決断しなければならない。 どちらも相手方が報復措置を講じる可能性がある案件だ。 目先の 話では、 こうした状況によって米連邦準備理事会(FRB)の 役割は一段と重大になる。 パウエル議長が堅実な手腕を発揮し、 例えば高関税導入が米国の 雇用喪失をもたらすようなら、 利上げペースを遅くして、 米国は投資先として引き続き世界一安全だと請け合ってほしい、 と投資家は期待するだろう。 米経済は、 たとえトランプ氏であっても1人が左右するには規模が大き過ぎる。 それでも市場に優しい人物の 価値はいくら強調しても強調し過ぎだとは言いにくい。 ●背景となるニュース*ホワイトハウスは6日、
Christopher Beddor
[ワシントン 6日 ロイター BREAKINGVIEWS] – 米国家経済会議(NEC)のコーン議長辞任は、ホワイトハウスの混乱を市場の問題へと変質させる。トランプ政権内で反自由貿易を唱える声に対する防波堤の役割を担ってきたコーン氏は、トランプ大統領が保護主義的な言動をエスカレートさせる中で、政府を去ろうとしている。市場はこれまで不安定な政治情勢にも冷静な態度を維持してきたとはいえ、もはやそれが当たり前とは言えなくなった。
コーン氏辞任発表の1週間前にトランプ氏が表明していたのが、鉄鋼とアルミニウムに高い関税を課して輸入を制限するという方針だった。計画の詳細はなお不明だが、方向性ははっきりしている。ロス商務長官やナバロ通商製造政策局長らが推進したと伝えられている高関税導入案は、トランプ氏をより穏健なコースに誘導することを望んでいた政権内のグループに打撃を与えた。そしてコーン氏の辞任で、ホワイトハウスの「ゼロサム的」な通商政策が加速する恐れが出てきた。
ホワイトハウスの機能不全や相次ぐ高官の入れ替わりは、トランプ氏が大統領に就任して以来日常化し、市場もほとんど重視してこなかった。だが今回は事情が違うかもしれない。コーン氏辞任発表直後、メキシコペソや株式の先物は急落した。
投資家が心配するのは無理もない。希望に沿った形に関税を設定できるという面でホワイトハウスが持つ裁量権は比較的大きいし、トランプ氏は近く通商問題でいくつか重要な決定を下す。北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉は期限が迫っている上に、米韓自由貿易協定を巡る交渉はなお続いている。米政府としてはトランプ氏が打ち出した鉄鋼・アルミ輸入制限を正式に採用するかどうかとその場合どのように実施するか、あるいは中国の知的財産権侵害を巡る調査をどう取り扱うかについて、間もなく決断しなければならない。どちらも相手方が報復措置を講じる可能性がある案件だ。
目先の話では、こうした状況によって米連邦準備理事会(FRB)の役割は一段と重大になる。パウエル議長が堅実な手腕を発揮し、例えば高関税導入が米国の雇用喪失をもたらすようなら、利上げペースを遅くして、米国は投資先として引き続き世界一安全だと請け合ってほしい、と投資家は期待するだろう。
米経済は、たとえトランプ氏であっても1人が左右するには規模が大き過ぎる。それでも市場に優しい人物の価値はいくら強調しても強調し過ぎだとは言いにくい。
●背景となるニュース
*ホワイトハウスは6日、国家経済会議(NEC)のコーン委員長が辞任すると発表した。
*コーン氏はホワイトハウスが示した声明で「国家のために奉仕し、歴史的な税制改革など成長を促進して国民の利益に資する経済政策を実現できたことは光栄だった。この機会を与えてくれた大統領に感謝し、大統領と政権が将来大きな成功を収めるよう祈っている」と述べた。
*コーン氏はかつてゴールドマン・サックス( GS. N)の最高執行責任者(COO)を務めた。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
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