ツイッターで明らかに 【ワシントン高本耕太】 トランプ米大統領は10日、 北朝鮮の 金正恩(キム・ ジョンウン)朝鮮労働党委員長との 米朝首脳会談について「シンガポールで6月12日に開かれる」 と自身の ツイッターで明らかにした。 先月27日開かれた南北首脳会談では、 朝鮮半島の 完全非核化が確認されており、 史上初と
【ワシントン高本耕太】トランプ米大統領は10日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との米朝首脳会談について「シンガポールで6月12日に開かれる」と自身のツイッターで明らかにした。先月27日開かれた南北首脳会談では、朝鮮半島の完全非核化が確認されており、史上初となる米朝首脳会談ではこの具体的措置や期限で合意できるかが焦点となる。一方、北朝鮮当局に解放された米国人3人は10日未明、ワシントン近郊のアンドルーズ空軍基地に到着した。基地に出向き3人の帰国を歓迎したトランプ大統領は記者団に「金正恩(委員長)に感謝する」と述べた。
開催地としてシンガポールが選定されたのは、中立性の高い第三国であることがその理由とみられる。同国は米国と北朝鮮が共に大使館を置き、過去の米朝協議でもたびたび会場とされた。開催地選定の過程で、トランプ氏は韓国と北朝鮮の軍事境界線がある板門店での開催に意欲を示し、北朝鮮側に打診したことも明らかにしていた。4月の南北首脳会談の会場だった板門店は、金委員長が平壌から陸路で到着できることや、既に警護・報道体制が整っていることなどが利点とされたが、朝鮮分断の象徴である板門店での開催により「非核化よりも、朝鮮戦争終結に焦点が当たる」などの懸念から、米政権内で反対論も根強かった。
トランプ氏はツイートで「世界平和のため(会談を)特別な機会にすべく双方が努力する」と述べた。トランプ政権は当初、5月中の開催も模索したが、史上初となる首脳会談に向けた準備に要する期間や他の外交日程を考慮、カナダ・ケベックで開かれる主要7カ国首脳会議(G7サミット、6月8~9日)後の開催で北朝鮮側と折り合った。これを受け、安倍晋三首相はG7期間中に予定される日米首脳会談で、北朝鮮の非核化とともに、日本を射程に収める短・中距離弾道ミサイル廃棄や拉致問題の提起を改めて米側に求める方針だ。
首脳会談の事前交渉と米国人3人の解放のため9日に平壌入りしていたポンペオ米国務長官は、帰国途上の機中で記者団に「当日のみの協議を予定しているが、状況によっては延長される可能性もある」と述べた。
一方、北朝鮮に解放され帰国したのは、共に平壌科学技術大学に勤務し2017年に身柄を拘束されたサンドク・キム氏とハクソン・キム氏、中朝国境地帯の経済特区で活動していたとされ15年に拘束されたドンチョル・キム氏の3人。スパイ行為や国家への敵対行為を理由に拘束されたが、対米「人質外交」に使われたと見られてきた。
メラニア夫人、ペンス副大統領夫妻らと基地で3人を出迎えたトランプ氏は記者団に「3人の帰国を実現でき光栄だ。北朝鮮の非核化が実現すれば私の最も誇る成果になる」と述べた。金委員長に関し「彼は何かを成し遂げたいと考えている。北朝鮮を現実の世界に連れ戻したいと考えていると思う」とも語り、米朝首脳会談での非核化協議の進展に期待感を示した。
ドンチョル氏は記者団に「帰国できて夢のようだ。とてもうれしい」と語った。拘束期間中の待遇については「さまざまな扱われ方をしたが、病気の際には(適切な)処置を受けた」と述べた。3人は診察のため軍の医療施設に向かったが、健康状態は良好という。