来日しているポンペオ米国務長官は８日、 北朝鮮の 金正恩（キムジョンウン）朝鮮労働党委員長の 最側近、 金英哲（キムヨンチョル）党副委員長との 会談で、 朝鮮戦争で行方不明になった米兵の 遺骨返還をめぐる実務協議…
来日しているポンペオ米国務長官は８日、北朝鮮の金正恩（キムジョンウン）朝鮮労働党委員長の最側近、金英哲（キムヨンチョル）党副委員長との会談で、朝鮮戦争で行方不明になった米兵の遺骨返還をめぐる実務協議を、今月中旬に板門店で開くことで合意したと明らかにした。北朝鮮側が「ミサイルのエンジンを実験する施設を解体することも約束した」と強調した。
東京都内で開かれた日米韓外相会談後の共同記者会見で明らかにした。ポンペオ氏は７、８の両日に訪朝し、北朝鮮側と非核化などを話し合う高官協議に臨んでいた。
ポンペオ氏は、北朝鮮の前向きな姿勢に触れる一方で、「完全に検証された最終的な非核化」を達成するまでは「力強い制裁を続ける」とも語り、圧力を緩めない考えを示した。
北朝鮮外務省がポンペオ氏との会談後、「米側の態度と立場は実に遺憾だった」との談話を発表したことについては、「北朝鮮側は誠実だった」と強調。北朝鮮が非核化への具体的な行動をとれば、米国として体制保証を進めていくことを明らかにした。米政府高官は、朝日新聞の取材に、「北朝鮮との会談は雰囲気は良く、具体的な進展があった」と語った。
米メディアや専門家の間では、北朝鮮の非核化への取り組みに対して懐疑的な見方が出ている。これについてポンペオ氏は「金委員長自らが『完全な非核化』を約束しており、それを理解している」と話し、今後、具体的な計画を立てていく考えを示した。
ポンペオ氏は英哲氏に、拉致問題についても提起したことを明らかにした。「米国にとっても重要で、北朝鮮との会談では毎回取り上げることが重要だ」と強調した。
これに対して河野太郎外相は謝意を示した。日本側は、ポンペオ氏の訪朝直後に開かれた今回の日米韓外相会談について、北朝鮮の非核化に積極的に関与する姿勢をアピールする機会と捉えていた。米朝協議の行方を把握し、日朝首脳会談の時期を見極める判断材料の一つにする考えもあった。
非核化交渉を担うポンペオ氏から直接説明を受けた河野氏は、共同記者会見で、「ポンペオ氏の多大なる努力を最後まで支援する」と強調。「米朝の交渉がきちんと前に進むよう、国際社会と歩調を合わせ（北朝鮮への）経済制裁をしっかり履行できるように務めたい」と語った。安倍政権が最重要課題に掲げる拉致問題の解決のためにも、米朝協議の進展を見極める方針だ。
また、ポンペオ氏と韓国の康京和（カンギョンファ）外相は８日、首相官邸で、それぞれ安倍晋三首相と会談した。（峯村健司、 清宮涼 、鬼原民幸）
