「基地問題を終わらせて」 「経済活性化に期待する」 。 30日に投開票日を迎えた沖縄県知事選。 米軍普天間基地(宜野湾市)の 名護市辺野古への 移設の 是非などを巡り、 前宜野湾市長の 佐喜真淳氏(54)と、 前衆院議員の 玉城デニー氏(58)が事実上の 一騎打ちを演じた。 有権者は様々な思いを胸に一票を投じた。 沖縄県知事選に投票する有権者(30日、 那覇市役所) 一部で投票日が繰り上げられるなど、 選挙戦にも大きな影響を与えた台風24号が過ぎ…
「基地問題を終わらせて」「経済活性化に期待する」。30日に投開票日を迎えた沖縄県知事選。米軍普天間基地(宜野湾市)の名護市辺野古への移設の是非などを巡り、前宜野湾市長の佐喜真淳氏(54)と、前衆院議員の玉城デニー氏(58)が事実上の一騎打ちを演じた。有権者は様々な思いを胸に一票を投じた。
沖縄県知事選に投票する有権者(30日、那覇市役所)
一部で投票日が繰り上げられるなど、選挙戦にも大きな影響を与えた台風24号が過ぎ去り、県内では30日昼ごろから次第に雨が上がって晴れ間ものぞいた。午前こそ人影がまばらだった各地の投票所には、午後になると次々と有権者が訪れた。
■名護市
辺野古で40年以上、飲食店を経営する女性(74)は佐喜真氏に一票を投じた。地元は長年、国と県の対立に翻弄されてきた。「早く基地問題が終わってほしい」と疲労感をにじませた。
調理師の男性(36)も佐喜真氏を支持。「周りには『飲むお金もない』と言っている人もいる。基地は要らないと思うが、暮らしの問題が最優先だ」と話した。
名護市に生まれ育った女性会社員(31)は「移設工事を止めるのは難しいかもしれない。でも『反対』の意思表示はしないと」。玉城氏に投票し「自然を壊してまで新基地を造る必要があるのか」と疑問を呈した。
■宜野湾市
普天間基地近くに住む建設業の女性(46)は玉城氏に一票。米軍機の騒音に悩まされ「県外移設」の思いを日々強くしている。「経済政策はどちらが知事になっても力を入れると思い、純粋に基地への考え方で選んだ」と話した。
大学事務職を定年退職した男性(60)は佐喜真氏を選んだ。自宅は基地から200メートルほど。学校の真上を飛ぶ米軍機を見るたびに「危険性の除去が先だ」と痛感する。「辺野古の工事が進まないと、普天間返還も進まない」と訴えた。
パートの男性(70)は「辺野古の人たちに、基地を押しつけるわけにはいかない」と玉城氏に投じた。輸送機オスプレイが通過すると自宅のテレビ画面が乱れるなど生活に支障はある。だが「人が少ないところだから基地を移設して良いわけではない。迷惑施設であることに変わりはない」と強調した。
■那覇市
那覇中心部の市役所の投票所には午後から続々と有権者が集まった。佐喜真氏に投じた大学4年の男性(22)は県内で就職活動中で「県民所得の底上げが必要。佐喜真氏の訴えは具体的で現実味があった」と話した。
保育園勤務の看護師の40代女性は玉城氏を選んだ。働きづめの母親や、家計が苦しく保育園に子供を預けられない人も多く見てきた。「子供を安心して育てられる沖縄にしてほしい」と話した。