自民党総裁選(20日投開票)で、 安倍晋三首相と石破茂元幹事長は外交・ 安全保障政策でも火花を散らしている。 日米同盟の 強化を進める首相は、 同盟をてこに北朝鮮による日本人拉致問題を解決する決意を示す。 石破氏は、 対米依存一辺倒の 外交からの 脱却を模索。 ロシアの プーチン大統領が前提条件なしの 日ロ平和条約締結を提案したことで、 北方領土交渉も争点となりそうだ。 「東アジアにはまだ冷戦時代の 残滓(ざんし)が残る。 日本がリーダーシップを発揮しながら戦後日本外交の 総決算をしていく」 。 首相は10日の 記者会見で、 北朝鮮
自民党総裁選(20日投開票)で、安倍晋三首相と石破茂元幹事長は外交・安全保障政策でも火花を散らしている。日米同盟の強化を進める首相は、同盟をてこに北朝鮮による日本人拉致問題を解決する決意を示す。石破氏は、対米依存一辺倒の外交からの脱却を模索。ロシアのプーチン大統領が前提条件なしの日ロ平和条約締結を提案したことで、北方領土交渉も争点となりそうだ。 「東アジアにはまだ冷戦時代の残滓(ざんし)が残る。日本がリーダーシップを発揮しながら戦後日本外交の総決算をしていく」。首相は10日の記者会見で、北朝鮮の拉致・核・ミサイル問題、日中関係の完全な正常化、日ロ平和条約締結への意欲を示し、「その根底、基本となるのは日米同盟だ」と強調した。 首相の強みは6年近くに及ぶ長期政権で築いた世界のリーダーとの信頼関係で、特にトランプ米大統領との連携を誇示。首相は総裁選で3選を果たせば9月下旬に国連総会出席のため訪米し、トランプ氏との首脳会談に臨む考え。首相は「日米同盟はかつてなく強固だ」と語る。 拉致問題について、首相は12日のロシア・ウラジオストクでの演説で「相互不信という殻を破り、最後は金正恩朝鮮労働党委員長と向き合わなければならない」と述べた。ただ、米朝の非核化協議を見守るのが基本スタンスで、日朝交渉先行には慎重だ。 一方、石破氏は、首相がトランプ氏やプーチン氏と築いている関係を念頭に「友情と国益は別」とくぎを刺す。日米同盟重視など日本外交の基軸は維持しつつ、「日本国の平和と独立は日本が守る意識を持つ」と語る。プーチン氏の提案を受け、石破氏は13日の長崎市での街頭演説で、首相が意欲を示す北方四島での共同経済活動について「どんなに経済協力をしてもプーチン氏は領土を返さない。領土は国家主権を懸けた争いだ」と疑問を呈した。 石破氏は米国内に自衛隊常設訓練場を創設することを提唱。その際、在米自衛隊の位置付けを規定する地位協定を米側と結び、在日米軍に関する日米地位協定の見直しにつなげることを目指す。 北朝鮮外交では、拉致最優先を強調する首相に対し、石破氏は「拉致問題の全面解決がないと何も進展しないというものから脱却しないといけない」と距離を置く。交渉進展に向け、日朝が互いに連絡事務所を置くことを唱えている。(2018/09/13-15:14)