四国電力 は31日、 未定としていた2019年3月期の 連結業績予想について、 純利益は前期比24%減の 150億円になりそうだと発表した。 伊方原子力発電所3号機(愛媛県伊方町)が27日に再稼働したが、 当初予定より遅れた影響で、 火力発電の 燃料費の 増加などで業績が悪化する。 原発は動き出したが、 電力自由化で競争が激しく、 厳しい経営環境はな…
四国電力 は31日、未定としていた2019年3月期の連結業績予想について、純利益は前期比24%減の150億円になりそうだと発表した。伊方原子力発電所3号機(愛媛県伊方町)が27日に再稼働したが、当初予定より遅れた影響で、火力発電の燃料費の増加などで業績が悪化する。原発は動き出したが、電力自由化で競争が激しく、厳しい経営環境はなお続く。
伊方原子力発電所3号機は30日未明に発送電を開始した(四国電力中央給電指令所、高松市)
「安堵している」。同日の決算記者会見で、佐伯勇人社長は伊方3号機の再稼働に触れ、ホッとした表情を浮かべた。17年12月の広島高裁の運転差し止め仮処分決定で、想定外の運転停止を余儀なくされたが、9月に広島高裁が異議審で取り消し、運転を認めた。
伊方3号機は30日に発送電を開始したが、当初予定から9カ月遅れ、それが経営に与えた影響は大きい。火力発電の燃料費の増加などで、四国電は19年3月期の通期でみて、255億円程度の収支悪化の要因になると試算する。
このため、今期の経常利益は21%減の220億円と予想する。とはいえ、原発が動いていなかった18年4~9月期の前年同期比61%減と比べると、経常利益の落ち込み具合は改善する。今期の売上高については0.2%減の7300億円と横ばいを予想する。
伊方3号機の出力は89万キロワットで、四国電の発電設備の出力合計の約15%を占める。3号機の稼働で、四国電にとっては供給面での余裕ができる。他社などへの卸販売は18年4~9月期に半減と大きく落ち込んだが、今後は回復する見通しだ。
四国電の経営は安定の方向に向かうが、電力自由化による競争が激しく、安泰とは言い難い。家庭や企業への小売販売については、今期は235億キロワット時と6%減を見込み、減少傾向が続く。電力自由化について、佐伯社長は「年を追うごとに厳しくなっている」と険しい表情で話す。
競争に打ち勝つ武器の1つが電気料金の値下げだ。佐伯社長は値下げに含みをもたせたものの、同日の記者会見では具体的な言及は避けた。一方、競争力を向上させるべく、企業への省エネ面でのサポートなど技術的な支援で活路を見いだす考えを強調した。
四国電は今期に入り、矢継ぎ早にベンチャー企業に出資し、これまでに4社に出資した。新規事業の種を見つけ、苦戦する電力販売を補う収益の柱を育てるのが狙いだ。佐伯社長は「複合的なサービスを売り込んでいきたい」と力を込めていた。
(辻征弥)